世界最大の熱帯林が広がるブラジル北部のアマゾン地域で、日系移民が苦難の末にたどり着いた「アグロフォレストリー(森林農法)」が森林の再生につながると注目を集めている。自然の森のように複数の果実や野菜を同時に生産する農法が、深刻化する森林破壊を食い止め、地球温暖化防止にも一役買う取り組みとして期待されている。
11月にCOP30が開かれた都市ベレンから北に30キロ。アマゾン川河口のモスケイロ島にあるミゲル・フィーリョさん(58)の農場では、アサイーの木が並ぶ雑木林の中でキャッサバやドラゴンフルーツ、パッションフルーツが育てられていた。成長に数年かかる果樹と短期間で収穫できる農作物を混植するのが特徴だ。
この農法は「トメアス式」とも呼ばれる。1929年から日本人の入植が始まったトメアスは一時、コショウ栽培で栄えたが、病害で壊滅的な被害を受けた。単一栽培のリスクを減らすため混植に着手した。一年を通じて作物を収穫でき、農家の経営安定が図れると同時に森林も増やせる。









