1994年7月、ナポリサミットに首相の代理で出席した河野洋平副総理兼外相(手前左)=ナポリ王宮(共同)

 1994年7月、イタリアで先進7カ国首脳会議(G7ナポリサミット)開催中、北朝鮮の金日成主席が死去したとのニュースが報じられ、参加国首脳らが情報収集に当たる生々しい様子が24日公開の外交文書で明らかになった。北朝鮮の核開発計画を巡る緊張は、核開発凍結と関係改善への道筋を定めた10月の米国との枠組み合意でいったん収束に向かう。

 7月9日に行われた昼食を交えた首脳会合に関する文書は、人物名を明記せず、発言の冒頭に「米」「英」「仏」と国名を書いている。それぞれクリントン米大統領、メージャー英首相、ミッテラン仏大統領を指すとみられる。日本は、現地で体調を崩した村山富市首相に代わり河野洋平副総理兼外相が出席した。

 米が「金氏死亡後の北朝鮮の最新状況をチェックするため自室に戻った」と発言。英は「新たなことは分かったか」と質問し、米は「新たな動きは見られない。(6月に)カーター元米大統領が訪朝した時、金氏は元気そうだった」と答えた。