国庫補助金で独立行政法人や都道府県などに設けられた「国の基金」の2023年度末の残高が計約20兆4157億円に上ることが24日、会計検査院の調べで分かった。新型コロナウイルスや経済対策への巨額計上を背景に、19年度末比で約5倍に膨張した。検査院は不要な積み増しや不適切な管理実態を指摘し、規模の見直しや使用見込みのない資金の国庫返納を求めた。

 国の基金残高の全体像が明らかになったのは初めて。内訳は、独立行政法人や公益財団法人などが191基金の計約18兆7969億円、都道府県は63基金の計約1兆6188億円。基金は運用実態が不透明で「無駄の温床」と指摘されてきた。政府は不必要な歳出などを点検する担当室を11月に新設したが、運用の厳格化が急がれる。

 基金は中長期的な政策推進のため、複数年度にわたって積み立てる。国会の要請を受けて検査院が19〜23年度の状況を調べた。国は5年間で計約34兆6879億円を交付。都道府県分はほぼ同規模で推移した一方、法人分は19年度末から23年度末で約8倍に膨らんだ。