北海道・知床半島沖で2022年4月、乗客乗員計26人が死亡、行方不明となった観光船沈没事故で、業務上過失致死罪に問われた運航会社社長桂田精一被告(62)の第3回公判が24日、釧路地裁で開かれた。証人尋問に出廷した運航会社の元従業員は、事故当時の同社について「経験のあるスタッフがおらず、大なり小なり事故になるのかなと思った」と述べた。
元従業員は、以前は自身や、沈没した観光船「KAZU 1(カズワン)」の元船長ら3人が運航管理の実務を担い、出航の可否を判断していたが、21年までに全員が雇い止めになったと説明した。元船長も出廷し、桂田被告には船の知識がなく、修理の相談もできなかったと証言。事故当時に運航管理者だった被告に「(出航などの)判断ができるとは思わない」と話した。
海洋工学の専門家も出廷し、模型を使った実験結果などを基に、事故当日の波の状況ではカズワンが最大36度傾いた可能性があるとする一方で「開口部から浸水しなければ沈没しなかった」と説明。ハッチが開いて浸水したことが沈没の原因との見方を示した。







