加工場と合わせてHACCPを取得したチョウザメの養殖場=中津川市福岡

 中津川市福岡でチョウザメの養殖とキャビアの生産、加工を手がける大山晋也さん(44)=同市=が先月、欧州連合(EU)へのキャビアの輸出に必要な国際認証「HACCP(ハサップ)」を取得した。加工場、養殖場でともに取得したのは、県内の事業者では初めて。大山さんは今年、米国とシンガポールへの輸出を初めて成功させており、「海外で戦う」という夢が実現に向けて大きく動き出した。

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 大山さんは家業の建設業の傍ら、公共事業の減少から2012年にチョウザメの事業に参入。休耕田を深さ最大3メートルの養殖池に造り替え約4千匹を飼育している。参入当初から海外進出が目標で、20年には自社の加工場設置、米国HACCP取得など、着実に事業の幅を広げてきた。

 事業参入から約15年が経過し、大山さんのキャビアの評判は海外で広がり始めている。自社加工場で急速凍結を行うことで、塩分濃度を抑えられ、キャビア本来の味を楽しめる。色素を作れない「アルビノ」のチョウザメを自家繁殖して得た、金色に輝くキャビアも展示会で話題をさらっている。

 こうした展示会の一つで、EUと同じ食品安全規制を採用する英国のバイヤーから引き合いがあり、取引に必須な欧州HACCPを取得することになった。今年は2月に生中継で商品を販売する「ライブコマース」でシンガポールへの輸出が実現。3月には米国ボストンの海産物見本市に輸出名目で出展し、本格的な海外進出を果たした。

 チョウザメは卵が採取できるほど成熟するまで10年近くかかる長命な魚。その卵のキャビアの輸出には、ワシントン条約をはじめ多数の障壁をクリアする必要があるという。大山さんは「(輸出は)牛歩のように進まず、歯がゆい思いをすることも多い。品質は世界一と自負しているので、海外で戦えると証明したい」と話した。

(稲木悠司)