1998年に和歌山市の夏祭り会場で4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒になった毒物カレー事件は25日で28年となった。無罪を訴える林真須美死刑囚(65)を支えた夫健治さんが6月に死去。地元で事件を語る人は少なくなった。記憶の風化は否めないが、犠牲者をしのんで学校にできた文庫が、今も静かに子どもたちの学びを育んでいる。
殺人罪などに問われた林死刑囚への判決は2009年に最高裁で確定したが、林死刑囚は一貫して無罪を主張。和歌山地裁で、3回目の再審請求の審理が続いている。
81歳で死去した夫健治さんは、集会などで林死刑囚の無実を訴え続けてきた。林死刑囚は面会した長男から訃報を伝えられると、顔中にじんましんのようなものが広がり、服薬のため面会が一時中断。「夫をみとれず悔しい」と語ったという。
和歌山市園部の現場は空き地になって久しく、周辺は事件後に建った住宅が増えた。25日も献花などは行われず、ひっそりとしていた。「被害者の会」副会長の杉谷安生さん(79)は「話題にすらしたくないのだと思う」と静かに語った。





