「松橋事件」損害賠償訴訟の控訴審判決を受け、福岡高裁前で「再び勝訴」と書かれた紙を掲げる原告側の弁護士=27日午後
 福岡高裁

 熊本県松橋町(現宇城市)で1985年に男性が殺害された「松橋事件」で、再審無罪が確定した故宮田浩喜さんの遺族が、国と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は27日、連帯して約2300万円の支払いを命じた。県警の逮捕前の取り調べが「自白させることが目的と認められ、任意捜査の限度を超え、違法と言わざるを得ない」と認定した。

 県警の任意聴取に「凶器に巻き、犯行後に燃やした」と自白したシャツ片が、起訴後の捜索で血痕のない状態で見つかった。昨年3月の一審熊本地裁判決は、検察が刑事裁判で存在を明らかにする義務を怠ったと判断する一方、県警の捜査の違法性を認めず、国のみに賠償を命じていた。

 岡田健裁判長は判決理由で、取り調べは10時間前後に及んだ日も多く不当に長時間で、他に有力な証拠もないまま自白させるために追及を続けたと指摘。暴力やどう喝はうかがわれないとした一審判決を取り消し「社会通念上相当と認められる限度を逸脱した結果、身体的、精神的に疲弊し自白に至った」と認めた。