株式会社プロシップ
監査法人対応・リース期間判定・連結処理など、企業固有の論点が難航要因に。成功の鍵を握る“方針整理”の実態とは

固定資産管理やリース管理をはじめ、資産管理ソリューションをグローバルに展開する株式会社プロシップ(本社所在地:東京都千代田区、代表取締役:鈴木 資史)は、経理担当者を対象に、「2026年7月 新リース会計基準への対応進捗と実務課題」に関する調査を実施しました。

2027年4月から適用開始となる新リース会計基準について、企業の対応状況や実務上の課題を把握するため、プロシップでは定点調査を継続的に実施しています。
適用開始まで1年を切り、本来であればシステム選定や導入などの本格的な移行フェーズに入る時期を迎えています。今回の調査の結果、53.4%の企業が依然として契約調査・方針整理段階(フェーズI・II)にとどまっており、適用初年度の期首稼働を目指す企業は18.7%にとどまりました。
なぜ多くの企業で準備が長期化しているのでしょうか。最新の調査結果から、新リース会計基準対応の最大の壁となっている「方針整理」の実態と、現場が直面する実務課題を紐解きます。

調査概要:「2026年7月 新リース会計基準への対応進捗と実務課題」に関する調査
【調査期間】2026年7月1日(水)~2026年7月2日(木)
【調査方法】PRIZMA(https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,009人
【調査対象】調査回答時に経理担当者と回答したモニター
(※)以下のいずれかの企業(またはその子会社・関連会社)にお勤めの方
 ・上場企業
 ・未上場かつ資本金5億円以上の企業
 ・未上場かつ負債総額200億円以上の企業
【調査元】株式会社プロシップ(https://www.proship.co.jp/
【モニター提供元】サクリサ


適用開始まで1年未満も、半数以上の企業が契約調査・方針整理段階に



はじめに、「新リース会計基準の適用準備に向けた現在の状況」について尋ねたところ、「会計方針・システム化方針検討(フェーズII)」を進めている企業が30.8%と最も多い結果となりました。

・まだ準備を始めていない(6.5%)
・契約調査、影響分析(フェーズI)を進めている(22.6%)
・フェーズIが完了し、会計方針、システム化方針検討(フェーズII)を進めている(30.8%)
・フェーズIIが完了し、システム導入(フェーズIII)を進めている(20.7%)
・フェーズIIIが完了し、リハーサルなどのテスト期間(フェーズIV)を進めている(13.5%)
・未定/不明(5.9%)

一方、「契約調査・影響分析(フェーズI)」を進めている企業も22.6%存在しており、両フェーズを合わせると、半数以上の企業が依然として準備の初期段階から方針検討段階にとどまっていることが明らかになりました。

2027年4月の適用開始まで1年を切った現在、本来であればシステム導入やテストなどの移行フェーズへ進んでいることが望ましい時期です。しかし、多くの企業ではその前段階となる「方針整理」に時間を要している実態が浮き彫りとなりました。

契約調査後の「方針整理」は、その後のシステム選定や導入スケジュールを左右する重要なフェーズとなっています。

方針整理が長期化する大きな要因の一つが、監査法人との協議です。
新リース会計基準では、リースの識別やリース期間の判定、少額資産基準の設定などについて企業ごとの判断が求められます。そのため、自社の考え方を整理するだけでなく、監査法人との合意形成が必要となり、検討が長期化するケースも少なくありません。
こうした論点が、企業の方針整理を長期化させている実態が浮き彫りとなりました。

現場に散在する契約情報。対象契約の洗い出しが準備長期化の第一の壁に



次に、「新リース会計基準の対象となる可能性のある契約書の洗い出し状況」について尋ねたところ、『すでに調査済み(24.6%)』『現在調査中(57.1%)』という結果になりました。
前回調査と比較しても、「すでに調査済み」と回答した企業は24.4%から24.6%へとわずかな増加にとどまり、「現在調査中」の企業は依然として過半数を占めています。
この結果から、多くの企業が対象契約の把握に想定以上の時間を要している実態が明らかになりました。

新リース会計基準への対応では、まず対象契約を漏れなく洗い出すことが重要ですが、契約情報が各部門に分散して管理されているケースも多く、情報収集に苦戦している実態が明らかになりました。
対象契約の洗い出しは、その後のリース識別やリース期間判定、システム化方針の検討など、「方針整理」を進めるうえでの前提となる工程です。そのため、この初期工程の遅れが方針整理の難易度を引き上げ、システム選定や導入計画の長期化につながる要因の一つになっていると考えられます。

契約情報が複数部門に分散している企業では、対象契約の洗い出しに想定以上の時間を要するケースも少なくないと考えられます。そのため、早い段階で契約情報を把握し、論点整理に着手できる体制を整えることが、その後のプロジェクトを円滑に進めるうえで重要なポイントとなります。

監査法人との合意形成になぜ時間がかかるのか?新基準対応を難航させる「3つの論点」
契約書だけでは判断できない「リースの識別」
―― 監査法人との協議が長期化しやすい代表論点




次に、「リースの識別において監査法人との協議が難航しているステップ」について尋ねたところ、「独占的に利用しているかどうか」「使用方法を指図する権利があるかどうか」に回答が集中しました。これらは契約書の文面だけでは判断が難しく、実際の利用実態を踏まえた評価が求められる論点です。

国内では新リース会計基準に関する先行事例がまだ限られていることから、監査法人との協議においても慎重な判断が求められ、結論に至るまで時間を要するケースが少なくありません。そのため、監査法人の判断を待つだけではなく、自社として契約実態や業務運用を整理したうえで、判断根拠を説明できる状態を整えることが重要です。

リースの識別は、その後の会計方針やシステム化方針にも影響を与えるため、早い段階で論点を整理し、監査法人との協議を進めることが円滑なプロジェクト推進の鍵になると考えられます。

リース期間をどう評価するか
――約6割の企業で監査法人からリース期間の見直しを求められる実態




次に、「リース期間の判定について、契約期間よりもリース期間が長くなる(延長オプションが行使される)と監査法人が主張しているケースはどのくらいあるか」と尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・大変多い(13.8%)
・どちらかといえば多い(47.1%)
・どちらかといえば少ない(23.2%)
・ほとんどない(8.3%)
・不明(7.6%)

「大変多い」「どちらかといえば多い」を合わせると約6割に達しており、多くの企業で監査法人から延長オプションの行使を考慮したリース期間の設定を求められていることがわかりました。

一方で、「どちらかといえば少ない」「ほとんどない」と回答した企業も3割以上存在しており、監査法人からの指摘状況には企業間で差が見られます。この背景には、事業の継続性や拠点の重要性、資産の代替可能性などを踏まえ、企業ごとに個別の判断が行われている実態があります。

リース期間の設定は、使用権資産やリース負債の計上額に直接影響する重要な論点です。そのため、自社の事業計画や資産の利用実態を整理し、判断根拠を明確にしたうえで監査法人との協議を進めることが、円滑な方針整理につながります。

少額資産基準をどこに設定するか
――実務負荷軽減と会計処理の妥当性、その両立が論点に

オンバランス化の対象範囲を決める要素の一つである「少額資産」について、各社がどのような基準を設定しているのか尋ねました。



「少額資産における数値基準」について尋ねたところ、以下のような結果となりました。
・契約単位で1億円超(9.6%)
・契約単位で1,000万円超~1億円以下(32.0%)
・契約単位で300万円超~1,000万円以下(27.7%)
・契約単位で300万円以下(現行のリース会計基準に定める300万円基準と同じ)(16.9%)
・契約単位ではなく物件単位で5,000米ドル以下(2.5%)
・未定/不明(11.3%)

現行リース会計基準における300万円基準をそのまま採用する企業は16.9%にとどまり、多くの企業が実務負荷軽減を考慮した新たな基準設定を検討しています。
この背景には、新基準の適用によって管理対象となる契約数が増加することを見据え、実務負荷を抑えたいという企業側の意向があると考えられます。

一方で、少額資産基準の設定は各社の資産規模や重要性の観点を踏まえて検討する必要があり、監査法人との協議が求められる論点の一つです。
そのため、単に管理対象を減らすという視点だけでなく、自社にとって妥当な基準をどこに設定するのかを整理することが重要になります。

少額資産基準は、リースの識別やリース期間と同様に、企業ごとの事情によって判断が分かれる代表的な方針整理項目です。会計方針と実務負荷のバランスを踏まえながら、自社としての考え方を整理していくことが円滑な制度対応につながるでしょう。

浮き彫りになる「手作業・エクセル」の限界。管理から連結まで一気に重くなる実務の壁
約7割の企業が契約情報を集約できていない
――契約情報の分散が情報収集を難しくする要因に




リースとして識別される可能性が高い不動産賃貸借契約について、管理体制の実情はどうなっているのでしょうか。

「経理部における一覧管理の進捗状況」について尋ねたところ、以下の結果となりました。
・現在経理部で一覧管理できている(29.8%)
・現在経理部で一覧管理できていないが、現場部門でそれぞれ管理している(55.6%)
・現在経理部で一覧管理できておらず、現場部門でも管理していない(9.3%)
・わからない(5.3%)

経理部門で契約情報を一元管理できている企業は約3割にとどまり、多くの企業で対象契約を網羅的に把握できていない実態が明らかになりました。特に、約6割の企業が「現場部門でそれぞれ管理している」と回答しており、契約情報が社内に分散している状況が確認されました。

新リース会計基準の適用にあたっては、こうした現場に散在する契約情報も漏れなく収集し、リースとして適切に評価・計上しなければなりません。契約情報を把握できなければ、その後のリース識別やリース期間の判定、会計方針の整理も進めることができません。そのため、各現場から経理部門へ情報を集約し、契約情報を一元管理できる体制を整備することが、新リース会計基準対応を進めるうえで重要な前提条件になるといえるでしょう。

手作業・エクセル管理の限界が顕在化
――部門ごとに異なる管理方法が一元化を阻む要因に




前の設問で「経理部で一覧管理できていない」と回答した企業に対し、「不動産賃貸借契約を経理部で一覧管理できていない理由」について尋ねたところ、『契約書の保管場所や管理方法が部門ごとに異なっている(54.9%)』が最も多く、『一覧化・管理を行うための仕組みやツールが整っていない(41.9%)』『部門横断での情報収集・連携に時間や手間がかかる(31.2%)』と続きました。

この結果から、部門ごとに管理方法が異なることや、情報を集約するための仕組みやツールが十分に整備されていないことが、一元管理を阻む主な要因であることがわかります。
また、紙の契約書やエクセル等の表計算ソフトによる管理など、部門ごとに異なる運用が残っている場合、経理部門は各現場の情報を収集・確認しながら手作業でデータを統合しなければならず、多くの工数が発生します。

新リース会計基準の適用後は、契約情報の収集だけでなく、契約変更や再測定への対応など継続的な管理も求められます。そのため、こうした属人的な運用に依存した管理には限界があり、全社横断で契約情報を集約・管理できる基盤の整備が重要になるといえるでしょう。

リース負債/使用権資産の計上対象は数百件規模がボリュームゾーン
――新基準対応で求められる管理業務の大幅な増加




次に、「不動産及び不動産のリース取引に新リース会計基準を適用することで、リース負債/使用権資産を計上することとなる契約の件数」について尋ねたところ、以下のような回答結果となりました。
・10件未満(5.0%)
・10件~100件未満(18.7%)
・100件~500件未満(35.3%)
・500件~1,000件未満(18.0%)
・1,000件~3,000件未満(7.5%)
・3,000件以上(5.5%)
・わからない(10.0%)

企業ごとに対象件数は異なるものの、多くの企業で数百件規模の契約を継続的に管理する必要があることがわかります。新基準適用後は、契約開始時の評価・計算だけでなく、契約変更や再測定、解約への対応なども求められるため、こうした業務をエクセル等の手作業で運用し続けることには限界があります。

管理対象となる契約数の増加は、経理部門の実務負荷を大きく押し上げる要因となります。そのため、新リース会計基準への対応では、契約情報の管理体制とあわせて、継続的な運用を見据えた仕組みづくりも重要になるといえるでしょう。

グループ会社間取引が拍車をかける連結対応の複雑化
――最大の課題は「連結消去仕訳の整理」




続いて、「グループ会社間の不動産賃貸借契約・リース取引に関して、対応が難しいと感じている点」について尋ねたところ、『連結決算における連結消去仕訳の整理(41.7%)』と回答した方が最も多く、『親子間におけるリース期間の考え方(39.9%)』『連結システムを含むシステム対応(30.0%)』と続きました。

この結果から、多くの企業が単体決算だけでなく、グループ会社間取引を含めた連結決算特有の論点に対応する必要があることがわかります。特に、連結消去仕訳の整理や親子会社間でのリース期間の考え方については、グループ全体で整合性の取れた判断が求められるため、対応が複雑化しやすい領域といえるでしょう。また、連結対応は経理部門単独では完結せず、グループ会社間での運用ルールや会計方針の統一も求められます。そのため、単体での方針整理に加えて、グループ全体での方針整理やシステム対応を見据えた検討が重要になります。

適用開始までの期間が限られるなか、こうした連結論点への対応を後回しにすると、プロジェクト全体の長期化につながる可能性があります。グループ会社を含めた早期の意思決定と準備が、円滑な制度対応の鍵になるといえるでしょう。

期首稼働を目指す企業はわずか18.7%。想定以上の負荷となる「方針整理」がシステム稼働を遅らせる要因に



最後に、「方針整理などに十分な期間を確保できるとした場合、システム本番稼働のタイミングとして許容できる時期」について尋ねたところ、以下のような回答結果となりました。
・期首(事業年度開始時)から稼働(18.7%)
・第1四半期決算から稼働(21.3%)
・第2四半期(中間決算)から稼働(28.0%)
・本決算から稼働(14.7%)
・稼働時期は未定(8.4%)
・システム導入自体が未定/検討中(5.8%)
・取引件数が少ないため、システム導入は予定していない(2.9%)

システム本番稼働の許容時期として、適用初年度の「期首(事業年度開始時)」を想定している企業はわずか18.7%にとどまりました。一方で、「第2四半期(中間決算)」が28.0%と最も多く、「第1四半期決算」「本決算」と合わせると、6割以上の企業が期首ではなく期中以降での稼働を想定していることがわかります。

今回の調査では、「対象契約の洗い出し」「リースの識別」「リース期間の判定」「少額資産基準の設定」、さらには「監査法人との協議」や「連結対応」など、多くの企業が方針整理に関わる論点への対応に苦戦している実態が明らかになりました。

こうした状況を踏まえると、多くの企業にとってシステム導入そのものよりも、その前提となる方針整理が大きなハードルとなっていることがうかがえます。その結果として、適用初年度の期首からの稼働にこだわるのではなく、まずは方針整理に十分な時間を確保し、着実な制度対応を優先する企業が増えていると考えられます。

まとめ:新リース会計基準対応の最大の壁は「方針整理」。準備の長期化を見据えた早期の意思決定を
今回の調査を通じて、2027年4月に適用開始を迎える新リース会計基準への対応に向け、多くの企業が「方針整理」の段階で想定以上の時間を要している実態が明らかになりました。

対応状況を見ると、「会計方針・システム化方針検討(フェーズII)」を進めている企業が最も多い一方で、「契約調査・影響分析(フェーズI)」を含めると半数以上の企業が依然として準備の初期段階から方針検討段階にとどまっています。

その背景には、対象契約の洗い出しや情報の一元管理に苦戦している現状に加え、リースの識別、リース期間の判定、少額資産基準の設定、監査法人との協議、さらにはグループ会社間取引を含む連結対応など、企業ごとに異なる論点への対応が求められていることがあります。

こうした状況の中、システム本番稼働のタイミングとして適用初年度の期首を想定している企業はわずか18.7%にとどまりました。この結果からも、多くの企業がシステム導入そのものよりも、その前提となる方針整理に大きな負荷を感じていることがうかがえます。

新リース会計基準対応では、「方針整理が終わってからシステム選定を行う」という進め方では、プロジェクト全体の長期化を招く可能性があります。方針整理の難易度や負荷を過小評価せず、早い段階から論点整理やシステム選定の検討を並行して進めることが、円滑な制度対応に向けた重要なポイントになるといえるでしょう。

今回の調査では、リースの識別、リース期間の判定、少額資産基準の設定、連結決算への対応など、企業固有の事情や監査法人との合意形成が必要となる論点が、方針整理の長期化につながっている実態が明らかになりました。つまり、多くの企業にとって課題となっているのはシステム導入そのものではなく、その前段階となる方針整理であることが示されています。
そのため、システム選定と方針整理を切り離して考えるのではなく、両者を並行して進められる体制を早期に構築することが重要です。
新リース会計基準対応の成否を左右する「方針整理」を支援
今回の調査では、多くの企業がシステム導入ではなく、その前段階となる「方針整理」に課題を抱えていることが明らかになりました。
プロシップは、IFRS第16号(リース)対応における100社超の支援実績をもとに、各種セミナー影響額試算、方針整理サイトなどを提供し、新リース会計基準対応で求められる方針整理を支援しています。
新リース会計対応を最短で実現する実行モデル「ProPlus+」
提供開始から約1年半で累計1,000社以上に導入されたProPlus+は、IFRS第16号(リース)対応における約100社の実績で培った知見をもとに開発されたリース会計対応ソリューションです。
今回の調査で最大の課題として浮き彫りになった「方針整理」への対応を支援できることも、ProPlus+の強みの一つです。リースの識別、期間判定、少額資産基準などの論点整理からシステム導入・運用までを一貫して支援し、円滑な新リース会計対応を実現します。


<主な導入企業(抜粋)>




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