県内有数のアールデコ建築ながら現在は使われていない旧県庁舎=岐阜市司町
モザイクタイルを使用した玄関ホール=岐阜市司町
司町旧県庁舎保存活用協議会がまとめた活用案=岐阜市役所

 20世紀初頭に流行したアールデコ様式で建てられた岐阜県内有数の建築物で、現在は使われていない旧県庁舎(岐阜市司町)の活用議論が民間で広がっている。県内の有識者らでつくる「司町旧県庁舎保存活用協議会」は、学びや文化の拠点にする活用案をまとめた。現存する鉄筋コンクリート造りの県庁舎としては最初期の建築を後世に残すため、広く県民に発信する。

 旧県庁舎は大垣市出身の建築家矢橋賢吉が設計し、1924年に建てられた。66年に県庁が岐阜市薮田南に移ってから2013年までは岐阜総合庁舎として利用されてきた。玄関と中央ホールには、約2億5千万年前の貝の化石「シカマイア」が入った県産の大理石を使用。当時は珍しかったステンドグラスが飾られている。

 県建築士会が主体で運営する協議会が作成した活用案は、旧県庁舎を大正ロマンあふれる空間で交流する場「司倶楽部(くらぶ)」とした。市民大学やゼミナール、サロンのほか、インターネット上の仮想空間「メタバース」を使ったイベントも企画する。

 活用案では、旧県庁舎が市中心部にあることから、市役所や「みんなの森ぎふメディアコスモス」、岐阜公園などと連携してまちづくりを進める構想もある。前県美術館長の古川秀昭会長(77)は「市民、県民の財産として考え、過去の100年を未来の100年につなげたい」と語った。

 旧県庁舎と同時期に建てられた庁舎では、同じく矢橋が設計した旧石川県庁舎(金沢市)がある。02年に閉庁後、10年からは「しいのき迎賓館」として開館し、当時の建物を生かしながら、レストランやカフェ、ギャラリーに加え、周辺には芝生、地下駐車場も整備した。総合観光案内もあり、英語や中国語、簡単な手話ができるコンシェルジュ(案内人)を配置している。年間40~50万人が訪れる。

 岐阜県によると、耐震性確保やバリアフリー化などの改修には最低でも約20億円かかると見込まれる。県の新庁舎は本年度中に整備、移転作業が完了する予定で、県の担当者は「旧県庁舎の活用については23年度から本格検討に入れるよう情報収集に努めたい」と話した。