講師(写真左)を交えてのグループディスカッション=岐阜市太郎丸、岐阜女子大学
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ネットで記事検索 国際的問題と自らの関わり考える

 本学の新入生も、入学後1カ月が過ぎ、大学の生活にも慣れ、授業を受け、いろいろな活動に取り組んでいます。大学1年生が受講する中に、大学で育む資質能力を表現する「学士力」という能力の基礎を培う科目が設定されています。学士力には、大学の専門授業で育まれる知識だけでなくコミュニケーションスキルや問題解決能力などが含まれています。

 前期1年生の社会科学系の授業では、地球的規模の課題は今身近に起きている問題に、また、私たちが抱える課題は国際的な問題につながっていることを理解する必要があると考え、国連「持続可能な開発目標(SDGs)」を取り上げました。SDGsの理解に必要な基礎的な社会経済の仕組みを整理し、その現状や課題の学習を進めて、地球的規模の課題について、自分との関わりを考えまとめることを目指しています。

 例えば、SDGsの目標6「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」に関する授業では「水をめぐる世界の現状」を遠い所の問題としてでなく、問題の所在や影響は身近な所にもあることに気付かせ、その視点で環境問題、現代の経済活動を捉え、「水をめぐる問題の現状と課題」を考えさせています。考えるきっかけとして、タブレット等で検索し、情報を入手しますが、インターネット上の偏った情報で学生の考えがミスリードされないように、例えば、「不衛生、水、新聞」と検索し、ネット上の新聞記事を見つけ出しその第一歩としています。後期は日本の政治社会問題を扱い、最後に、学生の出身地域の地域課題についてのプレゼンテーション、グループでの議論を行います。そのため、後期の授業は新聞の報道記事等を提示し、その捉え方を考え、意見を交換し、さらに調べ自らの考えを構築していくことを意識します。

 写真は昨年度、岐阜新聞報道部の記者を講師に迎えてのディスカッションの様子です。この授業では、講師が女性問題や環境問題等の複数の新聞記事を手がかりにして、課題と複数の捉え方を整理させ、学生の興味関心に沿ったグループでのディスカッションを行いました。学生にとっては、自らの考えを論理的に構成する際、新聞記事やコラム、社説の活用について大いに参考になっていました。

 大学の1年次の授業は、大学の専門の入口としての機能と社会を支える大人として身に付けて欲しい力を育む役割があります。私の授業では、高校までの社会科学の知識を再構築し、社会の課題について論理的に思考し、自らがその課題に対して取り組む態度と課題を解決に導く問題発見・解決能力の向上を目指しています。

 今の若者は一昔前に比べて、ボランティア活動等で社会問題と関わり興味や関心を持っています。しかしながら、自らが関わる社会問題を自分の問題と捉え、これを多面的に理解し、自らの意思を明確に持っている学生は多いとは言えません。少子化の中、社会人となった時に彼らが社会で果たす役割は大きくなっています。それ故、自らが社会の課題に対して取り組む態度と解決に導く問題発見・解決能力の向上を目指すことが重要と考えています。視野を広げて考える力、表現する力等を培うことのために、新聞記事やコラムは有効に活用することができます。