ひとりで悩まず、一歩を踏み出せば、自信につながります。

なおみ皮フ科クリニック 院長 梶田尚美 氏

 

近年増え続ける薄毛の悩み

 皮膚科を受診される方の症状を見てみると、水虫やアトピー、じんましんをはじめ、若い世代ではニキビの患者さんも多くいます。美容では、シミやしわ、たるみ、ダイエットなどです。そのほかに、最近では薄毛の相談も多くなっています。15年ほど前は、男性の受診が1日1~2人ほどでしたが、今は女性も増えてきました。髪は1日100本ほどが抜けるといわれていますが、多くの髪が一気に抜け始めた時に受診される方が多いように感じます。

 

 薄毛の症状を分類すると、部分的あるいは全頭的に脱毛してしまう「円形脱毛症」と、頭全体が薄毛になる「びまん性脱毛症」があります。円形脱毛症の場合、内臓疾患が原因の場合は内科の受診を紹介しています。びまん性脱毛症の場合は、軽症であれば、保険が適用される治療から始めます。重症の場合は、毛根にレーザーを当てるヘアレーザーや強めの塗り薬といった自己負担も含め、治療を行っていきます。当院の場合、日本の病院やクリニックではあまり見られないヘッドスパも併設し、治療を充実させています。

出産後、更年期の女性は要注意

 薄毛の原因は、ダイエットや出産後、更年期など女性のホルモンバランスの変化により生じることが考えられます。年齢層を見てみると、ダイエットは10代から、出産後は特に30代から40代にかけて、更年期は40代以上です。

 そこで注目されているのが、大豆由来の「エクオール」という成分。女性ホルモンの1つであるエストロゲンと似た働きをするのが特長です。豆乳や豆腐といった大豆製品を食べると、その中に含まれる大豆イソフラボンが腸内細菌により代謝され、エクオールが作られます。薄毛の進行を抑制する可能性や、シワの改善や更年期症状の緩和などが期待されています。私も出産や更年期で薄毛に苦しみ、深く悩んだ経験があり、皆さんのつらさを理解し治療するよう心がけています。セルフケアの1つとしてエクオールを直接サプリメントで摂ることもおすすめしています。

 大切なことは、「薄いかな」と気づいたら、早めに専門医の病院やクリニックに行くこと。軽症で回復に見通しが立てば、安心感を持て、自信につながります。逆に一人だけで考えていると、良くないことばかりが浮かび、悪循環になっていきます。薄毛も病気です。思い切って一歩を踏み出してみてください。

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 かじた・なおみ 愛知医科大卒業後、同大学付属病院皮膚科に入局。在職中は、ニキビに対するケミカルピーリングの研究を行い、数々の学会及び論文にて発表。同病院に美容皮フ科を立ち上げる。その後、総合大雄会病院 一宮西病院を経て、平成17年になおみ皮フ科クリニックを開院。


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