お茶と古書の店「Gifuto」を開店した野村啓さん=東白川村五加大沢
「Gifuto」と隣にある土蔵=東白川村五加大沢
「Gifuto」の背後には茶畑が広がる=東白川村五加大沢

 美濃白川茶の発祥地伝説がある岐阜県東白川村五加に、日本茶と古書を楽しむ古民家カフェ「Gifuto(ギフト)」がオープンした。村の地域おこし協力隊員として3月末まで3年間活動した野村啓さん(46)が古民家を購入し、店舗に改装して古書を並べた。生産量が減少の一途をたどり、存続も危ぶまれている村の茶業再興に役立ちたいとの思いがあり、「読書好きな人が美濃白川茶に出合うきっかけをつくりたい」と話している。

 東京で約20年、広告業界のコピーライターをしていた野村さんは、協力隊員として村に赴任。村の第三セクターで、美濃白川茶の製造販売を担当したのを機に日本茶に興味を深め、日本茶インストラクター資格を取得した。昨年、「読書の時に合う日本茶」をコンセプトに、川端康成など文豪をイメージした村産茶葉のティーバッグを商品化し、念願の日本茶ブックカフェ開店にこぎ着けた。

 屋号は、英語で贈り物を意味するギフトと、「岐阜と共に」という意味を掛けた。茶葉や菓子の素材は村産にこだわる。商品化したティーバッグのお茶に菓子をつけた「読書セット」(540円)や、急須のお茶と菓子のセット(700円)、蜂蜜と塩を加えた日本茶の豆乳ラテ(750円)などを提供する。

 古書を取り扱うため、古物商許可も取得した。店内には小説や絵本、食や美術など野村さん選書の約500冊が並び、在庫を含めると約千冊を取りそろえる。

 カフェは、約450年前に寺の住職が京都・宇治から茶の実を持ち帰って伝来したと伝わる蟠龍寺(ばんりゅうじ)跡近くにあり、茶畑にも接する。古民家は築約180年の木造平屋約170平方メートルで、母屋の隣に土蔵もあり、村の空き家バンクを利用して200万円で購入、約100万円をかけて改築した。

 任期を終えた協力隊員の定住支援のため、村が実施する補助事業費を充てた。村に定住した元隊員は、野村さんで5人目という。

 美濃白川茶を「味や香りが良くて品質も高い」と野村さんは評価する。一方で、全国的な日本茶の消費低迷に伴い、10年前に56トンあった村の荒茶生産量が昨年度は20トンに減少。「後継者不足に直面しながらも、先祖伝来の茶畑を維持しようと、採算度外視で精を出す高齢の茶農家の姿を見て何とかしたいと思った」という。日本茶になじみのない人に販路を広げようと、読書愛好家に着目した。

 茶農家の手伝いをしながら、週3日はカフェを営業するスタイルで、「いずれ自分が栽培したお茶を提供できたら」と夢を語る。営業は金曜~日曜の正午から午後7時。