スタイリッシュな鉄家具。おしゃれな空間を演出する=関市旭ヶ丘
パーツを溶接し、組み立てていく。職人が一つ一つ手作業で仕上げている=関市旭ヶ丘
機械を使って鉄を設計通りに曲げ、パーツを作っていく=関市旭ヶ丘
パーツを溶接し、組み立てた家具の骨組み=関市旭ヶ丘

 工場に立ちこめる油の臭い-。さながら下町の鉄工所のような場所で製造されているのは、おしゃれな鉄の家具。椅子やテーブル、ソファといった、一つ一つ職人が手作業でこだわり抜いて作り上げるスタイリッシュな“鉄家具”は全国のファンを魅了する。

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 杉山製作所は、もともと下請けの自動車部品加工会社だった。2000年にアイアン事業部を立ち上げると、店舗器具やアイアン建材、鉄製家具のオリジナルブランドがヒット。インテリアコーディネーターだった島田亜由美社長の就任を機に、鉄製家具メーカーへと転身を遂げてきた。

 

 素材の多くは無垢(むく)の鉄。丈夫な構造だけでなく、曲げたり、ねじったりすることで、洗練されたデザインに仕上げることができる。製造工程では、切断した鉄を機械で曲げる「機械曲げ」、火であぶって曲げる「火曲げ」の作業を通してパーツを作る。

 製品をみると、鉄の表面がでこぼことしたものがある。これはたたく作業を施し、鉄の「表情」を引き出している。また、熱や力を加えてねじり、鉄でしかできない斬新な形を実現させた。最後は、パーツを溶接して組み立て、バリを取って完成させる。

 「切る」「曲げる」「たたく」「つなげる」。製品が家具へと変化しても、脈々と受け継がれてきた加工の技術が随所で生かされている。

 無駄のないよりシンプルな、かつ黒光りした存在感のある家具。木製家具とはひと味違った自然の温かみがある鉄は、日常の空間にアートを取り入れたかのような彩りを演出してくれる。17年度には、幾何学模様を表現した壁用鉄製オブジェクト「Wall Deco」が日本デザイン振興会のグッドデザイン賞を受賞した。現在、取り扱っているアイテムは200点以上に上る。

 新型コロナウイルスの影響で、より豊かで快適な生活を求めるニーズが高まったため、一時、商品への問い合わせが急増したという。今後は、ユーザーの声を直接聞いて商品開発に役立てていくため、小売りにも力を注いでいく方針だ。

 チーフデザイナーの小玉温子さんは「鉄へのこだわりを持った製品づくりをしている。飽きられることがなく、長く愛される商品を作っていけるよう、『鉄の可能性』を探究していきたい」と話している。

 【工場概要】1962年、自動車部品や鉄道車両部品を製造する会社として創業。現在の工場は同年から稼働しており、面積は約990平方メートル。暮らしの中で鉄製家具の利用を提案するショールームを併設。近隣に物流センター(2008年竣工、約600平方メートル)を完備する。00年、アイアン事業部を開設し、店舗器具や鉄製家具などのオリジナル商品ブランドを次々と立ち上げる。従業員数29人。関市旭ケ丘。