岐阜県高山市丹生川町下保の千光寺を開山したとされる伝承上の人物「両面宿(すく)儺(な)」。同名のキャラクターが人気漫画「呪術廻戦(かいせん)」に登場することから、ファンが訪れるなど静かに注目を集めている。同寺は両面宿儺を祭る「宿儺堂」を4月から期間限定で特別に公開しており、大下大圓住職(66)は「飛騨の歴史に残る宿儺の一面も知ってほしい」と話す。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」呪術廻戦は、人の負の感情から生まれる化け物と呪術師の戦いを描いており、両面宿儺は呪いの王として登場する。漫画誌「週刊少年ジャンプ」で2018年から連載中で、単行本は現在15巻。アニメ化され、今年は映画も上映される。
日本書紀では、両面宿儺は二つの顔と四つの手を持つ怪物の姿で、朝廷に従わなかったため討伐されたとあり、悪者のイメージが強い。一方、丹生川村史によれば、日本書紀とは違った印象の伝説が県内各地に残る。下呂市の鎮守山観音堂には国の安寧や五穀豊穣(ほうじょう)を願ったとの言い伝えがあり、関市では水不足に苦しむ村人のため、池を造り観音菩薩を祭ったという。
千光寺はおよそ1600年前、仏法の契約により現れた両面宿儺が開山し、山号と寺号を袈裟山千光寺にしたと伝わる。大下住職は「飛騨地域を開拓して治め、宿儺様として信仰されてきた。地元の歴史では偉人だった」とみる。
宿儺堂には高さ2メートルの素朴な両面宿儺の石像を祭る。作られた時期や作者は分かっていない。例年は地域のイベントに合わせ1回だけ公開するが、漫画のファンとみられる若者や家族連れが来るようになり、11月までの土日、祝日に見せることにした。富山県から訪れたファンは「(漫画の)強いイメージと違うゆるい雰囲気があり、かわいい。もっと深く調べたい」と興味を持った様子だ。
同寺で販売する「宿儺尊」の御朱印が少しずつ売れだし、円空作の両面宿儺の像のイラストのお守りと一緒に買う人が増えたという。ブームについて、飛騨乗鞍観光協会の担当者は「両面宿儺の名が広まった。伝説を深掘りし、まずは地元の人が知るきっかけをつくりたい」と話している。










