インボイスの概要を解説するセミナー。制度のスタートまで1年に迫り、今後開催の頻度が増すなど活発化が予想される=揖斐郡揖斐川町上南方、揖斐川町商工会

 消費税の仕入れ税額控除の新たな方式として、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が、来年10月1日にスタートする。インボイスを発行できない中小零細の免税事業者が、取引先との付き合いを維持するために課税事業者となる場合など、決断を迫られる事業者も出てくる。スタートまであと約1年。岐阜県内では事業者向けのセミナーが各地で開かれるなど、円滑な制度開始に向けた取り組みも始まっている。

氏名や役職・部署名で検索!「岐阜の経済・人事情報 ポータル」

 「まさかここまで影響する可能性があるなんて、税理士に相談する前までは想像できなかった」と話すのは、一般社団法人日本カットコミュニケーション協会(岐阜市粟野東)の山内義孝代表理事(55)。前髪を散髪する時に使う補助用マスクの販売を手がける従業員2人の免税事業者だ。主要取引先の一つに生活協同組合があり、3年前から京都の卸業者を通じて取引をしている。

 課税売上があったとしても大半が個人消費者向けの場合、インボイスを発行する必要性が低いため、あえて免税事業者を続ける選択肢もありえる。だが同協会は、数量ベースの販路が個人消費者6割、企業間取引4割と拮抗(きっこう)。山内代表理事は「生協組合員とは今後も取引を続けたい。卸業者からインボイスへの取り組み状況を問われたら、課税事業者にならざるを得ないだろう」と語る。

 東京商工リサーチなどによると、インボイス発行事業者の登録申請は昨年10月に始まっているが、件数は低調だ。調査では今年8月末時点の登録率は法人42・4%、個人企業では9・9%。国税庁では申請期限の来年3月末に向け、年明けから駆け込み申請が急増すると見ている。

 税理士法人NEXT(岐阜市本荘中ノ町)の田中健一税理士(39)は「最近担当した事案でも、申請から通知まで2週間以上要した。早く対応するに越したことはない」と助言する。

 事業者への理解を深めるために、各地の公的機関でもセミナーを積極的に開催している。揖斐川町商工会では8月に田中税理士を招いたセミナーを開いたばかり。担当者が「昨年度も開催したが、その時より主体的に考え始める事業者が増えてきている」と実感するように、休憩時間を使って田中税理士に個別相談する姿もあった。田中税理士は「免税事業者、課税事業者どちらにも影響してくる制度。自分事として捉え、まずは主体的に情報を取得してほしい」と訴える。