岐阜市の中心市街地の柳ケ瀬商店街に、クラゲの水槽が展示された一角がある。その名も「ちいさなくらげ実験室」。ゆったりと泳ぐクラゲの姿が、道行く人に涼感と癒やしを届けている。管理する"室長"の公務員加藤辰己さん(39)=同市柳ケ瀬通=は「たまには何も考えず、ぼーっと眺める時間にしてもらえたら」と話す。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」2019年10月、柳ケ瀬本通り沿いにある「古道具モックモック柳ケ瀬店」のショーウインドーの一区画にオープンした。水族館を思わせる黒い背景に並ぶ丸窓をのぞくと、悠々と泳ぐ幾多のクラゲ。「きれいだね」。子どもたちが興味津々で水槽をのぞく。
「ときどき止まったり、ふっと動き始めたり。ぼーっと見ているといつの間にか時間が過ぎている」と加藤さんはクラゲの魅力を語る。平日は市内の病院で医療事務員として働き、仕事終わりに餌やりにいそしんでいる。
10代の頃から海洋生物に関心があり、静岡大理学部で生物工学を学び、卒業後には医療関係の道を志した。クラゲの飼育を始めたのは5、6年前。愛知県や福井県などの漁港で採取して育て始めると、手間がかかるが見ているだけで癒やされた。当時看護師として勤務していた小児科病棟で披露したところ、子どもたちも大喜びだった。
「町の人にも見てもらいたい」と思い始め、かつて柳ケ瀬の地下道に水族館があったことを思い出した。「いま街角でやれば面白いのでは」と市にぎわいまち公社に相談し、実現した。
現在展示しているのは3種類。クラゲの成体期を迎える時季は種類ごとに違うため、季節ごとに展示を入れ替える必要がある。これまでは7種類ほどを展示してきたが、新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置の影響で県外での採取が難しくなり、現在は夏の展示に向けて懸命に飼育を進めている。
ショーウインドー裏にはクラゲを飼育するための手製の水槽や装置が並んでおり、まさに「小さな実験室」だ。クラゲはデリケートな生き物で、酸素ポンプの気泡ですら当たると穴が開いてしまう。泳ぐ力も弱く、水流がなければ底に沈んで腐る。生息しやすい環境にするため、一般的な水槽にさまざまな工夫を施した。
展示に添えた加藤さんのユーモラスな解説文も、見る人を和ませる。アカクラゲの水槽の脇には「毒つよい いたい」とだけ書かれた張り紙が。思わず脱力してしまうが、加藤さんは「緩い感じでやってます」と目を細める。クラゲと同様、のんびり気長に続けるつもりだ。
加藤さんは土、日曜日に不定期で昼間に実験室で作業している。最新情報はツイッターアカウント「とらくらげ」(@10rajelly)で発信している。水、木曜日は休み。















