生徒玄関に飾られたペットボトルキャップアートを紹介する岩田朔陽さん(左)と可児星哉さん
縦割りグループで、キャップの貼り付け作業を行う生徒たち=いずれも羽島市上中町沖、中島中学校

 新型コロナウイルスの影響で、小中学校では本年度、学校行事の中止や縮小を余儀なくされた。羽島市上中町沖の中島中学校でも、全学年が一緒になって行う体育祭などが中止になったが、他の学年と関わりを持とうと、生徒会が中心になって、全校でペットボトルキャップを使ってモザイク画アートを作る交流行事を企画した。

 コロナによる臨時休校が終わり、学校が再開された昨年6月、生徒会は「CONNECTION(コネクション)」を本年度のスローガンに決めた。前期生徒会長の可児星哉さん(3年)は「コロナの影響で6月は、学年ごとの分散登校やクラスを半分に分けた授業が続いた。薄れていた生徒間のつながりを高める願いを込めて、このスローガンを提案した」と話す。

 秋に予定されていた体育祭や合唱祭などの校内行事がコロナの感染拡大防止のため、相次いで中止になった。各学年が交流する行事がなくなったことから、「学年を超えた生徒の関係性を築きたかった」と後期の生徒会長、岩田朔陽(さくや)さん(3年)。岩田さんは卒業した先輩から、自分の高校でペットボトルキャップを使ったアート作品を作ったことを聞かされた。

 同校の生徒会は毎年、ペットボトルのキャップやアルミ缶を生徒から集め、回収業者に販売。代金を生徒会活動費に充てるほか、慈善団体へ寄付している。岩田さんら生徒会執行部は、集められたキャップの一部を利用して、全校でのアート制作を企画した。

 昨年11月に原画のデザインを募集。生徒たちから寄せられたアイデアを生徒会執行部でまとめ、3階に渡り廊下がある同校の校舎と、バトンの手渡しをイメージしたデザインに決めた。

 12月には、全校生徒201人を1~3年生の縦割りで5、6人ずつ36グループに分け、5046個のキャップを使ってアート作りに挑戦。グループごとに作品のパーツとなる板(縦約30センチ、横約45センチ)にキャップを両面テープで貼り付けた。3年生がリーダーとなり、各学年の生徒が話し合いながら作業を進めた。36枚のパーツを組み合わせてアートを完成させ、生徒玄関に飾り付けた。

 岩田さんは「本年度唯一、全学年の生徒が交流することができた行事。みんな楽しそうに作業をしていたので、やって良かったと思った」と振り返る。

 前期はコロナの影響で、毎年生徒会が中心になって行っている地域の高齢者介護施設などの清掃活動を取りやめ、代わりに生徒が手作りマスクを各施設へ贈った。施設までマスクを届けた可児さんは「お年寄りから、お礼の寄せ書きを頂き、うれしかった。地域とつながりができたという実感を得た」と話した。

 生徒会を担当する畑中葵教諭(27)は「クラスだけでなく、他の学年や地域とのつながりを深める取り組みができた。コロナ禍で自分たちで行事を考え、つくり上げた体験は良い財産になったに違いない」と語った。