ノンアルコールカクテルを振る舞う中垣繁幸さん=岐阜市金宝町、バロッサ・コクテリエ

 新型コロナウイルスの感染拡大で適用された「まん延防止等重点措置」に基づき、岐阜県から午後8時までの営業時間の短縮と酒類を提供しないように要請された22市町の飲食店の休業が目立っている。酒類を提供できなければ、売り上げを見込めないためだ。県内随一の繁華街の柳ケ瀬・玉宮地区も事実上の"休業要請"に、同8時前でも多くの店の明かりが消え、人影はまばら。その中で要請に応じつつ、ノンアルコールカクテルに切り替え、灯をともし続ける一軒のバーがある。

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 岐阜市によると、対象となる飲食店は市内に3611店、うち柳ケ瀬・玉宮地区に1056店ある。市が店舗を調査したところ、18日時点で99%以上が要請に応じていた。要請を機に休業することになった店舗数は把握していない。

 バー「バロッサ・コクテリエ」(同市金宝町)はまん延防止措置の適用期間中、営業を土、日曜日の午後2時~同8時に短縮した。酒の提供を取りやめ、「モクテル」と呼ばれるノンアルコールカクテルを振る舞う。モクテルは「まねた」という意味の「モック(mock)」と「カクテル」を組み合わせた言葉だ。

 経営者のバーテンダー中垣繁幸さん(52)は、緊急事態宣言や県独自の非常事態宣言に基づく時短営業の要請に応じてきた。カウンターにカーテン、客席の間にパーティションを設置し、席数も減らした。

 酒類の提供停止という要請はバーには死活問題。平日は帰宅する人に午後8時閉店の店に寄ってもらうことは難しい。土、日曜日の営業のために仕入れた果物や乳製品などは次の土日まで鮮度を保てず、買い直すことになり、店を開いても赤字になるだけだが、「(バーは)お酒を味わったり、くつろいだりしてもらうことが目的。ノンアルコールであっても、人と人とのつながり、心のつながりを守るための場と空間を提供したい」と開店を決めた。コロナ禍前と比べれば、来店客は20分の1ほどだが「リピート客がいて励みになる」と語る。

 要請に応じた場合に支払われる協力金では、営業を続けることは困難だ。「活路を見いだそうと真剣に考えているが、行政を信じて耐えれば、なんとかなるという気持ちではないのは確か」。今月末までの要請が延長された場合「そのまま応じられるか、即答はできない」と表情は厳しい。