オリジナルの味のほか、こんぶ茶味などバラエティー豊かなカニチップ。発売から40年を経ても、くせになる味にファンが多い

◆ハル屋(羽島郡岐南町)

 目を引く赤色のパッケージに黄色の商品名。約40年前の発売以来、愛され続けるスナック菓子がハル屋のカニチップだ。販売は東海地域のみで、完全受注生産だが、昨年1年間で約10万袋を生産するなど人気は健在。フライヤーに投入されてから袋詰めまで約15分間と短時間で仕上げ、独特のサクっとした軽い食感とやみつきになる味を実現するための工夫が、製造工程の随所に見られた。

 カニチップの生地は、ジャガイモのでんぷんを主原料にカニやエビなどを練り込んだもの。生産する三重県四日市市の生地メーカーで、1次乾燥までを済ませたものがハル屋に運ばれてくる。大きさは、1円玉とほぼ同じで、付け爪のような見た目だ。

 ハル屋の工場で行うのは2次乾燥、フライ、味付け、包装の4工程。独特の軽い食感と口溶けの良さの決め手となるのが、最初の二つの工程だ。2次乾燥は一晩かけてじっくり火入れをするが、最後はその日の気温や湿度に合わせて、経験豊富な作業員が細心の注意を払いながら微調整する。

 その後、生地はかくはん機が付いた直径約2メートルのフライヤーの中へ。生地は、もくもくと湯気を上げるフライヤーの中で一気に花が咲いたように膨らんだ。油は2種類の植物油を使う。高温でさっと短時間で揚げることで、あの独特な食感が生まれる。

 揚げたての熱を帯びた生地は、ベルトコンベヤーで味付けの機械に運ばれ、カニのエキスや天然塩、砂糖などを配合した「カニパウダー」を振りかけていく。熱々の状態だからこそ味が良くのる。パウダーには、隠し味として粉末しょうゆを入れている。野田晴彦社長は「もともとは塩ベースの味付けだったが、日本人に好まれる味を目指し、母(故勝子さん)が加えた」と明かしてくれた。

 昨今のスナック菓子は、濃い味が主流になっているが、カニチップは薄味。野田社長は「だからこそ手が止まらなくなる。女性や子どもも1袋食べ切れる」と胸を張る。出来たてのカニチップを手に、野田社長は「全国展開ではなく、ご当地にこだわりたい。今後も親から子へと味が伝わり、地元の味として定着したい」と思いを語ってくれた。

 【工場概要】1963年、岐阜市で創業し、67年に羽島郡岐南町野中に移転。81年から現工場での製造を開始した。2階建ての工場内にはフライヤー1台、乾燥機5台などを完備。従業員は25人。カニチップの1日最大生産能力は、通常(60グラム)サイズで1万2千袋。そのほか、ひねり揚げなど相手先ブランドによる生産(OEM)製造も含め、1日平均約10種のスナック菓子を製造する。