昭和初期に多治見―岡崎間を走った旧鉄道省初の路線バス車両=名古屋市港区、リニア・鉄道館

 JR東海のリニア・鉄道館(名古屋市)で保存、展示されている「国鉄バス第1号車(鉄道省営乗合自動車)」が、国の重要文化財に指定されることになった。多治見駅と岡崎駅を結ぶ旧鉄道省最初のバス路線で、開設年の1930(昭和5)年から37年まで走ったバス車両。行き先を表示する方向幕に「多治見行」と記されている。

 15日に国の文化審議会が指定を答申。手続きを経て正式に指定される。

 JR東海によると、当時7台あったうち現存する唯一の車両で、多治見-岡崎間の岡多線と、途中の瀬戸記念橋-高蔵寺間の高蔵寺線を走った。愛知環状鉄道(旧国鉄・岡多線)の前身とも言えるバス路線で、当時も名古屋を経由せず多治見と岡崎を結ぶ鉄道路線を求める声はあったが、土地買収や財政の課題もあり、鉄道の代わりにバスを走らせたという。

 バスはボンネット型で全長約7メートル、定員20人。東京瓦斯電気工業(現在のいすゞ自動車や日野自動車などの前身)製の国産で、審議会は「自動車一般の国産化において多大な貢献を果たした本車両の先駆性や規範性は高く評価され、交通史上・産業技術史上に価値が高い」としている。天野満宏館長は「大切に保管し、後世につなげていきたい」と話し、保存活動に関わったJR東海の須田寬顧問(90)は「バスも解体せず、価値あるものは文化財として残す。そういう道が開けるのでは」と話している。