来年1月6日公開の映画「ファミリア」(キノフィルムズ配給)。ブラジル人を憎む半グレのリーダーに目を付けられて窮地に陥った在日ブラジル人青年のマルコスを救うため、陶器職人の主人公が行動を起こす物語だ。日本人と在日ブラジル人の関係を軸に、さまざまな違いを超えて家族を作ろうとする人たちを描く。そこで主演の役所広司さんや吉沢亮さん、MIYAVIさんらと共演し、マルコスを演じたのが格闘家でもあるサガエルカスさん=岐阜県可児市土田=(18)。公開を前に、出演しての感想や映画への思いを語ってもらった。

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 ―初出演。なぜ挑戦しようと思いましたか。

 映画をやるきっかけは父の勧め。家に帰ると父がネットの記事を見ていてオーディションがあるからやってみなよと言われた。オーディションに受かって、初めは「すごい。受かったんだ」と喜んだが、最後のオーディションに受かった時には落ちた人たちの気持ちもしっかり背負おうと思っていた。日本に住むブラジル人を代表してこの映画に出るのだから、悔いの無いようにがんばってすごいものにしようという思いで臨んだ。

「日本に住むブラジル人を代表してこの映画に出るのだから、悔いのないようにすごいものにしようという思いで臨んだ」と話すサガエルカスさん=可児市

 ―演技には元々興味はありましたか。

 全くなかった。父の勧めだけ。こんなにすごい役だとは最初思っていなくて、ちょっとしたところで出ると思っていた。実際やってみたら全然ちがくて、びっくりした。

役所広司さん(右)と共演するサガエルカスさん(©2022「ファミリア」製作委員会)

 ―役所広司さんら大物俳優と共演した。感想は。

 ハリウッドや日本のトップで活躍する俳優さんたちと演技ができて話ができて、本当にうれしかった。めちゃくちゃ緊張した。

 ―演技は今後も続けたい?

 格闘技もやりながら演技も続けたい。格闘技は始めたころからずっと持っていた夢なので、何をしてでも続けたいという思いがある。この映画をやって俳優も楽しいなと思ったので、このまま二つとも続けたい。

 ―格闘技を始めたのはいつから。

 中学1年生から始めた。12~13歳くらい。

 ―今回の映画では在日ブラジル人が迫害されます。そういった経験をしたことはありますか。

 小学校、中学校、高校とずっといじめにあった。自分が迫害に近いことを受けた経験はいじめ。思い出したくもない。しかし日本人に対する恨みを演じる時には逆に、いじめを受けていたから気持ちを作りやすかった。自分の昔の経験を生かしながら演じられた部分も多かった。

半グレのリーダーを演じるMIYAVIさん(左)とサガエルカスさん(©2022「ファミリア」製作委員会)

 ―2020年3月にクランクインしたものの、新型コロナの影響で4月に撮影を中止。21年11月に2回目のクランクインをする異例の撮影となりました。苦労したところは。

 2回目のクランクインの前がすごく大変。1年半、撮影が空いた。その間、先生に教えてもらった運動や声の出し方を練習しながら過ごした。それが大変だった。いつ再開するのだろうとずっと思っていた。続けられるのかという不安もあった。自分の中では映画は続かないのではという諦めの気持ちもあった。それでもやり続けるのは結構大変だった。

 ―大物俳優と共演して特に印象に残っていることは。

 スイッチの入れ方。役所広司さんは、役に入る時のスイッチの入れ方が本当にすごい。裏で待っている時に声をかけてくれたりするが、いざ演ずるとまったく別の性格や役になる。自分ができないことをやっていらした。格闘技でもこれは生かせそう。試合の前に長い期間ピリピリしてしまう。切り替えでスイッチの入れ方が生かせる。生かしていきたい。映画の出演は本当にいい経験になった。

 ―この映画を特に見てもらいたい人は。

 ブラジル人や日本人の生活にスポットライトを当てているが、関係無い人でも何かしらの部分で〝刺さる〟映画だと思う。日本人やブラジル人に限らず、ほかの外国人や若い人から大人の人まで、本当にいろんな人に見てもらいたい。

                    ◇

 映画は岐阜県大垣市三塚町の大垣コロナシネマワールドや関市倉知の関シネックスマーゴなどで上映される。

 

サガエルカス  2004年岐阜県美濃加茂市生まれ、可児市育ち。日系ブラジル人3世。中学1年生からジムに通い、22年にキックボクシングでプロデビュー。現在は工務店に勤務しながら総合格闘技で活躍している。