頭上に設置されたモニターを見ながら黙々と組み立て作業を行う従業員。レシップホールディングス中核子会社レシップの工場で生産されるバス用運賃箱は、約6割の国内シェアを誇る。品質の安定化、生産工程の標準化と時間短縮を追求し、自社開発した「作業ナビシステム」を2018年から運用。運賃箱に必要な部品集めから組み立てまで、モニターに表示された情報通りに作業すれば、初心者でも完成品が作れる画期的な仕組みだ。
氏名や役職・部署名で検索!「岐阜の経済・人事情報 ポータル」運賃箱は、整理券と現金を分ける券銭分離部、紙幣識別部と呼ばれるユニットのほか、ねじなども合わせて約200点の部品で構成される。工場を見学した時は、岐阜乗合自動車(岐阜バス、岐阜市)に納入する最新型運賃箱の製造が佳境を迎えていた。
最初の工程となるピッキング(部品の取り出し)は、運賃箱1台に必要なユニットと部品類を収納する専用の棚を使用する。製造する運賃箱の情報を読み込むと、部品置き場から取り出すユニットと、部品の保管場所や必要数量がすぐに分かる。さらに、棚の収納スペースに取り付けられたランプが光り、取り出した部品を収納するスペースも指示される。手際よく部品を収集する従業員の姿から分かるように、部品を探す手間やミスは大幅に減ったという。システム導入後はピッキングだけで20分以上、作業時間が縮まった。
三つある組み立てラインでは、頭上に設置されたモニターに作業手順が表示されていた。部品を正確に取り付けるたびに次の工程の指示画面に切り替わり、手順に従って作業すると、運賃箱が組み上がっていく。ねじを締めるドライバーのトルク(ねじりの強さ)も管理され、一定以上の力で締めない限り、次の工程に進めない。多くの従業員が難しいと感じた作業に臨む時は、画面に作業のポイントが表示される。過去の作業実績情報を集めた分析・改善も日々続けている。
組み立て後は検査工程に移行。現金の投入や払い出し、両替、運賃収集データの処理などが正確に作動しているかどうかを確認して完成した。
ナビシステムの導入により、生産能力は1・5倍ほど向上。生産本部の岩本宏隆副本部長は「多品種少量生産を行う中で、生産性を落とすことなく高品質なものづくりができている」と効果を実感する。スマートファクトリー化の動きを照明などの他製品にも広げる考えで、「運賃箱製造ラインの作業支援システムをモデルにして、会社全体の生産効率を高めていきたい」と展望を語った。
【工場概要】1995年完成。3階建てで延べ床面積は8154平方メートル。運賃箱は1階で製造する。設計・開発部門を含めて工場で働く従業員約600人のうち、約50人が運賃箱製造に携わり、組み立て前のユニットも工場内で製造する。運賃箱の最大生産能力は月産500台。










