独自開発した顔認証と熱感知カメラ=本巣市三橋、フィットイージー岐阜本巣店

 2018年7月の設立から3年間で、中部地方を中心に店舗数を着実に伸ばしているジムがある。24時間営業の会員制フィットネスクラブを運営するフィットイージー(岐阜市本町、國江仙嗣(ひさし)社長)だ。独自開発した顔認証による入館、スマートフォンでいつでもできる入会の手続きと、デジタル技術を組み込んだ利便性の高いシステムが利用者の支持を集めている。

 岐阜県本巣市の大型商業施設近くにある直営店。入り口でカメラに顔を近づけると自動でドアが開き、同時に熱感知カメラが平熱であることを確認する。広い店内にはランニングマシンからベンチプレス、スクリーンに景色が映し出されるゲーム感覚の自転車型トレーニング器具まで、何十台もの最新マシンが並ぶ。会員本人以外は入館できず、感染症対策も徹底した安全安心な空間で、利用者は思い思いに体を鍛える。

 國江社長が会社のシステムを作り上げるまでには、さまざまな経験があった。高校を卒業後、内装業を始め、並行して古着屋やアンティークショップ、コインランドリーも経営。海外の商習慣を学び、「何事も人任せにはしない」と建材は米国で直接買い付けた。賃貸物件のリフォームやリノベーションを手掛けた後、いち早く中国から安価なパネルを直輸入して太陽光発電事業に参入した。

 事業が拡大する中、趣味が高じてレーシング事業部を立ち上げ、2016年からは国内最高峰のスーパーGTに参戦。「いい車といいメカニック、いいドライバー、いいエンジンがそろえば大手自動車メーカーとも互角に戦える」。会社もシステムと組織をきちんと作ることができれば、大手にだって勝てる。この経験が大きな自信になった。

 フィットネスは、米国や中国、タイなど、海外を飛び回って見識を深める中で「日本でも健康志向が高まり、需要が拡大する」と事業化を構想していた。「地域の人の役に立つ事業を手掛けたい」という思いも強く、太陽光発電会社を会社分割して得た資金でフィットイージーを立ち上げた。

 デジタル技術は設立前、会社の設計図を描く段階でシステムとして組み込んだ。まだ、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が普及し始める前だった。顔認証をベンチャー企業と作り、インフルエンザ対策で熱感知カメラ、スマホによる入会システムも開発した。昨年春、新型コロナウイルスが感染拡大した時には、入会システムを前倒しして導入した。コロナの影響は少なからず受けたが、4店舗で始めた会社は20年10月期に約50店舗、21年10月期は82店舗にまで拡大した。

 「うちはフランチャイズでも出店しやすく、海外を含めて、何百店舗になっても対応できるシステムを構築している」。新規株式公開(IPO)を視野に描いた設計図には、館内に設置した複数のカメラで利用者一人一人の運動量を自動で測定するシステムも盛り込んでおり、来年にも導入する計画だ。國江社長によると現在、国内のフィットネス業界でフィットイージーの店舗数は17番目、24時間フィットネスでは5番目という。「どんな業態でも市場が成熟してくると、生き残るのは上位4社程度に絞られる。早く4位以内を目指したい」と先を見据える。