トンネル内を歩く人ら。出口の向こうには紅葉した木々がのぞく=愛知県春日井市、愛岐トンネル群

 岐阜県多治見市と愛知県春日井市境にまたがる旧国鉄中央線廃線跡「愛岐トンネル群」の秋の特別公開で29日、累計の入場者数が30万人を突破した。NPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会が2008年から春と秋に公開しており、重厚な赤レンガ造りのトンネルと紅葉が織り成す郷愁を求めて多くの人でにぎわっている。

 国鉄中央線は1900年に名古屋から多治見間が開通。中部地区の大動脈として近代化を支えたが、66年に廃線となった。レールや枕木が撤去され、やぶに埋もれた愛岐トンネル群は人々の記憶から忘れ去られたが、市民有志の手で再生された。

 30万人目となったのは神奈川県藤沢市から妻らと訪れた元銀行員の南部忠恭さん(79)。同法人の村上真善理事長(69)からミニレンガの記念品を受け取った。廃線巡りの大ファンという南部さんは「宝くじに当たるよりうれしい」と喜んだ。

 村上理事長は「春と秋の2週間の公開でこれだけ多くの人が来てくれたのはうれしい限り」と話す一方、トイレなどの観光地としての整備に課題を感じているとし、「市民だけの力では限界がある。行政と手を組み、全国区の観光地として365日の公開を目指したい」と語った。

 特別公開では春日井市側の線路跡1・7キロを開放している。12月5日まで。