「まんが農業」を披露する河地貢士さん(漫画に画像加工をしてあります)
開始1カ月、漫画を〝養分〟に成長した苗
脚立から絵の具を垂らす、鳥のふんをイメージしたアクションペインティング=いずれも岐阜市日ノ出町、ギャラリーLucca445

 地面に並んだ漫画、ページの間から野菜の苗が生える-。岐阜県多治見市出身の現代美術作家河地貢士(かわちこうし)さん(47)が、岐阜市日ノ出町のギャラリーLucca445で個展「swallow(スワロー)」を開いている。「何も考えてないようで考えているような作品を見せたい」と話す。

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 河地さんは多治見高校、名古屋芸大美術学部デザイン科造形実験コース卒業。東京を拠点に国内外で作品を発表している。

 今回のメイン作品となる「まんが農業」は、漫画本から野菜の苗を生やしたインスタレーション。漫画から多くのことを学び成長したという河地さん自身にならい、漫画を"養分"にして、トマト、ホウレンソウなどの野菜を育てる。漫画の登場人物が「悔しい」「本心を飲み込んでいる」という場面に苗を仕込んだ。室内で育つよう光を放つライトは鵜飼をイメージし鵜をかたどった。水やりはスポイトで行い、観覧客も体験できる。

 個展のタイトル「スワロー」は、英語でツバメ以外に、「飲み込む」という意味がある。コロナ禍でいろいろなことが制限されて現状を飲み込むしかない状況を表現した。「まんが農業」で悔しい場面を"養分"に選んだのもそのため。「悔しさを飲み込む状況を肥やしにして、ポジティブに考えていければ」。また、ツバメが初夏に飛ぶことや、渡り鳥として故郷に帰ることを自分になぞらえた。

 背の高さまである脚立の最上部に座って突如制作を始めたのは、鳥のふんのように彩色するアクションペインティング。ほかに「クレイジー稲穂」は、音に反応して本物の稲穂が暴れ動く。そんな人を食った創作も併せて楽しめる。

 円空仏をスナック菓子の「うまい棒」に彫る「うまい仏(ぶつ)」の展示(関市主催、名古屋市で開催)が話題を集めるなど、故郷・岐阜とも関わりを持ちながら創作をしてきたが、岐阜市での作品発表は初めて。「気付けば食べ物に関係する作品が多い」と笑うが、食べ物を素材にすることに冷ややかな視線も感じる。「それを差し置いても面白いと思わせるような作品を目指している」

 現代美術の世界に身を置き「ただきれいなだけではサービス不足と思ってしまう」と言う河地さん。同時代性を出すために、今はコロナ禍も題材にする。「コロナ禍を扱い創作をしている人は、どこか暗いか、逆に無理に明るくしようとするか。そんな直球な表現ではなく、ひとひねりさせたい」と話している。個展は20日まで。ギャラリーは水、木曜日定休。