真の「記録映画監督」を追い求めて
その後、民族文化映像研究所の姫田忠義所長と出会い、大学卒業と同時に入所した。岐阜県郡上市美並町粥川の人々の生活を記録した「粥川風土記」の取材から助手として参加。粥川の山の暮らしを取材し、記録することの大切さと面白さを学んだ。
グーグル検索で岐阜新聞デジタルを優先表示!便利機能で岐阜のニュースをチェックその時思い出したのは、古里の緑豊かな風景と、高校時代に「監督になるという」夢を相談していた村役場職員の言葉だった。「監督になりたいという夢を目標にしてはいけないよ。監督というのはあくまでも手段だから」。「地に足を着け、人々が築いた暮らしや文化を伝えよう」と志を新たにした。
古里の宝に目を凝らす
2014年には、祖父の記憶を元にかつて岐阜県東濃地域で盛んだった鳥猟「霞(かすみ)網猟」の世界を描いた「鳥の道を越えて」を制作した。当時の時代背景を読み解いたこの作品は、翌年の第56回科学技術映像祭で内閣総理大臣賞を受賞した。
現在はツチノコ目撃者を中心に取材し、村民の自然観をスクリーンに描こうと奮闘している。ツチノコが「いる」と信じた少年時代と、「いない」と冷めていた青年時代。果たしてどちらの方が心が豊かだったのか。今井さんは、その答えをこの映画で模索する。
「記録映画は落穂拾いだよ」。過去に指導を仰いだ小池征人監督の言葉をいまも思い出す。今井さんは世の中が見落としたものを拾い集め、古里の風景と人々の物語を紡いでいる。
■記者のひとこと
「何もない」。村に帰省すると、ついこの言葉が出てしまう。しかし、取材中今井さんは「村は宝の山だよ」と語った。視点が違うだけで、物事は「無」にも「宝」にも、がらりと変わる。今井さんは、心豊かな人生を送る上で大切なものを教えてくれたように感じた。
桂川景(かつらがわ・けい) 2022年度入社。警察担当を経てデジタル報道部。東白川村出身。幼少期は、毎年5月に開催される「つちのこフェスタ」が大好きだった。ツチノコはまだ見たことがない。







