1991年に建てられた墨俣一夜城。町のシンボルだ=大垣市墨俣町

 以前から気になる窓があった。長良川沿いにそびえる墨俣一夜城。立派な城郭天守に不釣り合いな金属製の窓枠は、どんな景色を切り取っているのだろう。

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 窓は意外と大きく、最上階からは360度全てを見渡せる。北東を望む。長良川の先に金華山がよく見え、当地が織田信長による美濃攻めの重要な拠点だったことがうかがえる。西に視線を移すと、犀川など4本の川が流れ込み、輪中地帯の痕跡を見て取れた。

 戦国時代の一夜城は柵で囲ったとりでのようなものだった。かつて「州股(すのまた)」と表記された通り、辺りは川が集中し、洪水で城の跡は消えた。「遺構が見つかれば、この城郭も建設されなかった」と元町職員の髙木久館長(62)は振り返る。

 史実とは違う建物だが、資料館として30年間、歴史を伝えてきた平成の城郭。不似合いに思っていた窓にも愛着が湧いた。