私たちに寄り添ってくれる犬や猫。そんな彼らにも心があります。岐阜市の獣医師で、ぎふ動物行動クリニック院長の奥田順之さんは動物の心と行動の専門家。問題行動の裏にある犬や猫の本心、しつけをテーマに寄稿してもらいます。(月1回予定、岐阜新聞デジタル独自記事です)
おくだ・よりゆき 獣医行動診療科認定医、鹿児島大学共同獣医学部講師(動物行動学)。年間150症例以上の問題行動を診察する、ぎふ動物行動クリニック院長。動物行動学の専門家として講演多数。著書に「犬の咬みグセ解決塾 (2018)」「犬の問題行動の教科書(2022)」「私の死後も愛犬・愛猫を幸せにする方法(2025)」。動物行動学の専門家として、ペット産業の適正化に取り組んでいる。
◆それってマーキング?それとも排泄?
「また粗相をしてしまった……」と、途方に暮れたことはありませんか? 猫は本来、とても清潔好きな動物です。それなのにトイレ以外の場所でおしっこをしてしまうのは、なにかのサインであることがほとんど。しかる前に、まずは「どうしてだろう?」と、猫の立場で考えてみてほしいのです。
不適切な排泄への対応を考えるうえで、第一に確認すべきなのが、通常の排泄なのか、マーキング(尿スプレー)なのかということです。
「通常の排泄」とは文字通り、膀胱(ぼうこう)に溜まった尿や大腸に溜まった便という老廃物を体外に排出することを目的とした行動です。対して「マーキング(尿スプレー)」は尿を使って匂いをつけることを目的とした行動で、まったく意味が違います。
通常の排泄の場合は床やカーペットなど水平な面に、比較的まとまった量のおしっこをするのが特徴。もしそのような形で失敗しているとしたら、トイレが汚くて快適なトイレ環境を提供できていないとか、トイレに対する嫌な記憶を学習しているなどの原因が考えられます。
一方マーキングは、壁やソファの側面など垂直な面に、少量をピュッとかけるような形が多く、お尻をやや高く上げた独特のポーズを取ります。マーキングは縄張りを主張したり、不安が強い状態で生じやすい行動です。未去勢の雄猫に多く見られますが、雌猫や去勢済みの猫でも、強いストレス下では起こることがあります。屋外に野良猫が来ている、同居猫同士でケンカがある、飼い主との関係が安定していないなど、精神的なストレスを感じる状況が引き金になることが多いです。
「通常の排泄を不適切な場所でしている」のか「マーキングをしている」のか。どちらのパターンか観察することが、解決の第一歩です。
◆猫の不適切な排泄の原因は?
原因① 病気やからだの不調
まず最初に疑っていただきたいのが、身体的な問題です。...









