先月上旬の日本相撲協会の新弟子検査に、岐阜県可児市出身の名古屋経済大4年、飯間ルーカス一夫さん(23)が合格した。バスケットボールやラグビーの経験はあるものの、相撲歴はわずか半年。ほぼ未経験という異色の経歴ながら、元関脇安美錦の安治川親方に将来性を見込まれ、角界入りした。「相撲の型を覚えて立派な関取になりたい」と親方の胸を借りながら日々稽古に励んでいる。

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ラグビーとバスケットボールの経験を生かし、関取を目指す飯間ルーカス一夫さん=1月、愛知県犬山市、名古屋経済大

 両国国技館で先月行われた初場所中の出世披露。安治川親方が現役最後に付けた化粧まわしを借り、照明で照らされる土俵に立った。「これから相撲人生が始まるんだ」。観衆を前に力士になったことを実感し、胸が熱くなった。

大学時代はラガーマン

 ブラジル人の両親の間に生まれ、4人きょうだいの末っ子。幼少期から体格がよく、中学卒業時は身長175センチ、体重約100キロ。中学2年から高校まではバスケットボールに打ち込んだが、名古屋経済大ラグビー部の村瀬賢治部長(52)の誘いを受け、同大に進学。巨漢を生かしてプロップとして活躍した。

 力士を志すきかっけは偶然だった。大学卒業後の進路に悩んでいた時、知人の紹介で安治川親方と出会った。中学時代から一回りも二回りも大きくなった体格は身長184センチ、体重147キロ、太もも回りは約83センチ。屈強な体を見た親方から、入門の誘いを受けた。相撲という未知の世界に「迷いはあった」というが、幼いころからの夢は「スポーツ選手になること」だった。激しい体のぶつかり合いがラグビーと共通している部分にも魅力を感じた。「新しい挑戦をしよう」と入門を決断した。

ラグビー部時代は、スクラムの柱であるプロップとしてチームに貢献した飯間ルーカス一夫さん(右から2番目)=愛知県犬山市、名古屋経済大(村瀬賢治さん提供)

年齢制限の壁乗り越える

 ただ、角界入りは一筋縄ではいかず、年齢制限の壁が立ちはだかった。新弟子検査の受検は「一般は23歳未満」という規定がある。昨年8月の検査時にすでに23歳で、一般以外で受検するためには学生相撲などで経験を積む必要があった。すぐさま村瀬部長らの協力で相撲サークルを設立し、他大学の土俵を借りて練習に励んだ。昨秋には全国学生相撲選手権などに出場して実績を積んだ。新弟子検査で晴れて合格し、相撲界への扉をこじ開けた。

 初場所の新弟子検査は合格者8人のうち、飯間さん以外、全員が10代の経験者。合格者らが相撲を取る初場所の「前相撲」では、5番取って結果は1勝。「差を感じた」と現実を突きつけられた。落ち込んだ時期もあったが、今は「ラグビーで鍛えた下半身のおかげで、土俵際も踏ん張れた」と前を向く。

「親方のような力士目指す」

 7月に名古屋市で開かれる名古屋場所で、安治川部屋は名古屋経済大の敷地内に部屋を構える予定だ。「自分が頑張っていることを身近に見せられる」と母校への〝凱旋(がいせん)〟を楽しみにしながら、「その時に立派な姿を見せたい」と意気込む。安治川親方は、元大関魁皇(かいおう)と並び、関取在位期間歴代1位。そんな親方を引き合いに出し、「長く輝ける力士になりたい」と青写真を描く。挑戦は始まったばかりだ。

※語句を修正しています。