ユネスコ世界遺産に登録されている白川郷の合掌造り集落。場所によっては高さ1メートルほどの雪が残る中、日本の原風景を映し出す風景を目当てに訪れる観光客でにぎわいを見せている。
合掌造り民家園(白川村荻町)にある「旧中野長治郎家住宅」。現在は休憩所として使われており、昔ながらのいろりで火がたかれている。
喧噪(けんそう)とは無縁の落ち着いた空気が流れる部屋には、いろりのほのかな音が響く。いろり端に座ると思いの外、熱い。いろりの周囲だけ、季節を感じさせないかのような暖かさに包まれている。
時折「パチン」と音を上げて火の粉が飛ぶ。じわじわという音をかすかに立てながら紅色に染まるまきからは、柔らかい炎と煙が立ち登る。煙はかやぶきの屋根、はりや柱をいぶして腐食や虫の害を防ぐ役割がある。古くからの知恵が生きる構造に改めて驚く。
民家園の担当者は「ストーブといった他の暖房とは違った暖かさがある。いろりの火を見ているだけで、時間が過ぎていくとよく聞く」と話す。火は4月上旬ぐらいまでともされる。
【memo】
「合掌造り民家園」は、集団離村で残された合掌造り家屋などを移設した屋外博物館。旧中野長治郎家住宅は加須良地区から移築した建物で、かやぶきの木造切り妻合掌造り。建築年代は明治期という。今は休憩所として使われており、冬季に園内で昔ながらのいろりの火を楽しめるのはここだけ。











