1400度まで熱した玉鋼に大つちが振り落とされると、激しい火花が周囲に飛び散る。鍛錬の見せ場の一つだ
リズムを合わせるように大つちが振り下ろされ、火花と同時に金属がぶつかり合う音が館内に響く
火床を前に、見学者からの質問に答える刀匠。鍛錬の一般公開では、古来から連綿と受け継がれている匠(たくみ)の技に触れることができる=いずれも関市南春日町、関鍛冶伝承館

 日本刀の刀工流派「五箇伝」の一つでもある「美濃伝」は、刀都・関市を中心に発展した。いにしえからの匠(たくみ)の技は、日本刀だけでなく、包丁やはさみといった日用品にも受け継がれ、今も名をとどろかせる。

無料クイズで毎日脳トレ!入口はこちら

 

 関鍛冶伝承館(岐阜県関市)では、刀匠による古式日本刀鍛錬の実演を見学できる。日本刀の材料となる玉鋼の強度を高める「折り返し鍛錬」で、約1400度まで熱した玉鋼を、繰り返し大つちでたたいて鍛え上げる。

 刀匠が操るふいごに合わせ、火床から「ゴー」という音を上げて炎と火の粉が立ち上がる。その中から取り出した真っ赤な玉鋼を金床に乗せ、何度も大づちを振り下ろしてたたく。

 飛び散る火花の迫力も見ものだが、拍子を合わせて打ちつける大つちの音にも耳を傾けたい。「ドン」という重く短い打撃音と同時に、玉鋼と大づち、金床が共鳴するかのように「キーン」という高い音が響く。

 一連の動作を繰り返す鍛錬はリズミカルで、ずっと聞いていても飽きない。二十五代藤原兼房刀匠(66)は「火の色と炎の出る様子、そして音が全てを教えてくれる」と語る。火床から上がる炎の音を背景に、低い音と高い音が同時に織りなす音楽のような金属音は、古来から続く技の重厚さと繊細さを象徴しているのかもしれない。

【memo】

 関の刃物は鎌倉時代の発祥と伝わる。室町時代には「関の孫六」で有名な孫六兼元などの名工を輩出。明治期の廃刀令後はナイフやはさみといった分野にシフトし、2008年には特許庁から地域ブランド「関の刃物」の認定も受けた。

 関鍛冶伝承館では、匠の技を今に伝える刀剣の数々を展示。併設の日本刀鍛錬場では毎月1回、刀匠らによる古式日本刀鍛錬の実演を公開している。次回は4月2日。