知名度がある一方、生産量が減少している美濃白川茶の産地を盛り上げようと、岐阜県加茂郡東白川村に着任した2人の地域おこし協力隊員がこの冬、ユニークなお茶の新商品を開発した。文豪に着想を得た読書家向けのおしゃれなお茶のセットをはじめ、特色ある商品が話題を集めている。
元コピーライターの地域おこし協力隊員野村啓さん(45)は、読書好きの人に手に取ってもらいやすいお茶を売り出した。ほうじ茶の「Dazai」、玄米茶の「Natsume」、煎茶の「Kawabata」の3種で、太宰治、夏目漱石と川端康成をイメージして茶を選んだ。「吾輩は美濃白川茶である」など、小説の有名な一節をもじったパッケージも目を引く。書店に陳列しやすい文庫本サイズで、手軽さを重視したティーバッグ式にした。
11月にインターネット通販で発売したところ、会員制交流サイト(SNS)で話題を集め、60点以上の注文があった。野村さんは「東白川村の茶は全国的に高い評価を受けていながら、作り続けられる見通しは立たない。お茶になじみのない人にも味わってもらいたい」と話している。
地域おこし協力隊員の早勢将弥さん(23)は、美濃白川茶としては初というほうじ茶ラテを開発。ほうじ茶を粉末にして奄美諸島産の砂糖を足したもので、牛乳で割ってほろ苦いラテを作る。クラウドファンディングサイトで12月7日に先行販売を始めた。
東白川村の茶の生産は、右肩下がりの状況が続いている。摘んで乾燥させた茶葉の2020年の生産量は約2万1千キロ。1980年ごろのピーク時に約3億円あったという出荷額は、6分の1の約4700万円まで落ちた。
村産業課によると、全国的にお茶の需要が減り、村のような小規模の栽培では利益を上げにくくなっているという。村は無農薬栽培を農家に勧め、村を挙げて生産を効率化する茶産地構造改革計画を進めているが、根本的な解決には至っていない。こうした背景もあり、新しい需要を掘り起こそうと商品開発に取り組む動きが盛んになっているといい、村産業課の渡辺泰司さんは「小規模生産地のため薄利多売では他の産地にかなわないが、アイデアなら勝負できる」と期待を込めた。















