岐阜県内の公立中学校で、性別に関係なく着られるジェンダーレスの制服を導入する動きが広がっている。県内では制服がある62校全ての県立高校で女子生徒の制服にスラックスを追加するなど選択肢を設けているが、岐阜新聞社の取材では、中学校で約2割が既に導入していることが分かったほか、導入に向けデザインの選定に地域住民らも加わるユニークな事例もみられた。性的少数者(LGBT)への配慮が進んでいることもあり、制服の選択制が中学校にも拡大している。
かんたん検索! 岐阜県・東海のイベント お出かけ情報総合サイト「ぎふっと!」岐阜市上川手の厚見中学校は、来年の開校50周年の節目を機に、新1年生から男女ともスラックス(ズボン)かスカートを選択できるようにして、上着もブレザーに切り替える。6月末から今月にかけ、生徒や保護者らが投票して生地の柄やデザインを決める「制服総選挙」も実施した。生地の柄などを3種類の中から選ぶもので、生徒や保護者らのほか、厚見小学校の児童や、地域住民も参加した。
総選挙を仕掛けたのは、岡田芳子校長(60)。約20年前の教え子だった女子生徒から「スカートをはくことが嫌だった」と卒業後に打ち明けられた経験があるという。岡田校長は「毎日、葛藤を抱えていたのに誰にも言えず悩んでいた。今の子たちには自分がどうありたいかを真剣に考えてほしい」と思いを語る。
エンブレムやボタンのデザインは、昨年度の3年生が美術の時間を使って考案。昨年度の生徒会長で3年生の奥田朱音(あかね)さんは「みんなで納得して制服を決められるのはうれしい。来年の1年生は大事に着てほしい」と期待を込めた。
県内の中学校で多くの制服を取り扱っている学生服卸「東海マルタカ」(岐阜市小熊町)は、3年前から女子用のブレザーとセーラー服に対応したスラックスを用意し始めた。年々、学校や生徒、保護者からの問い合わせや要望が増えているといい、山田和宏常務(34)は「多様性が進む中で、いろいろな要望に応えられる制服を提案していきたい」と話している。
◆「生徒の意思尊重」37校導入 全市町村アンケ
岐阜新聞社が県内全42市町村の教育委員会に実施したアンケートによると、7月現在、県内の中学校176校のうち、21%に当たる37校がジェンダーレスの制服を導入している。導入した理由では「LGBTへの配慮」「生徒の個性や意思を尊重」「冬場の登下校がスカートだと寒い」の意見が多かった。
全ての中学校が男女ともスラックスかスカートを選択できるのは、岐阜市と羽島市。中津川市では12校のうち3校が、どちらを着用しても見た目に違和感が無いブレザーを採用している。
関市は、市内9校で2023年4月には統一のジェンダーレス制服を導入できるよう検討している。来年6月には見本案を生徒や保護者に提示する予定。デザインを統一するのは、生徒数が少ない学校の場合、独自デザインにすると制服の単価が高くなる傾向があるためで、家庭の負担を減らす狙いがある。市教委の担当者は「生徒や保護者の意見を聞きながら進めていきたい」と話す。












