鉄道愛好家の団体「鉄道友の会」が〝鉄道車両の最優秀賞〟を選ぶ「ブルーリボン賞」。今年は高山線の特急「ひだ」で活躍するHC85系が輝いた。〝優秀賞〟の「ローレル賞」とともに、これまで選ばれた車両には岐阜県に縁が深い車両も多い。その一部を紹介する。

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保存されている14系寝台車。1972年ブルーリボン賞=2018年1月、山梨県内

 東西の大動脈、東海道線と東海道新幹線。受賞車両も多く走る。1959年ブルーリボン賞の国鉄151系は、新幹線開業前の東海道線の特急電車。かつて深夜や早朝に岐阜県内を走り抜けたブルートレイン。客車の国鉄14系寝台車が72年ブルーリボン賞、国鉄24系25形が75年ローレル賞に選ばれた。今も残る夜行列車、特急「サンライズ出雲・サンライズ瀬戸」のJR西日本・JR東海285系は、99年のブルーリボン賞。

1981年ローレル賞の117系。岐阜県内の東海道線などでも活躍した=2013年1月、西岐阜駅

 身近な電車も栄光に輝いた。81年ローレル賞の国鉄117系は、片側のドアが2カ所で車内には転換クロスシートが並ぶ快速電車。当初は関西向け。岐阜県内を含む名古屋地区では82年に導入され、2013年に定期列車から退いた。1996年ローレル賞の383系は、名古屋と長野を結ぶ中央線の特急「しなの」の車両。東濃地域や信州を駆け抜ける。

1996年ローレル賞の383系特急「しなの」=2022年7月、長野県松本市内

 東海道新幹線の歴代車両は全形式が受賞。1965年ブルーリボン賞が国鉄0系。100系、300系、500系、700系、N700系、N700Sは、いずれかの賞を受賞している。

1962年ブルーリボン賞の名鉄7000系パノラマカー=2008年12月、岐阜県羽島郡笠松町内
1985年ブルーリボン賞の名鉄8800系「パノラマDX」=2005年1月、吉良吉田駅

 名鉄では、62年ブルーリボン賞の7000系が最初。真っ赤な車体に展望席が特徴だった「パノラマカー」。2009年の引退まで長年、沿線利用者らに親しまれた。1966年ブルーリボン賞のキハ8000系は、国鉄高山線へ乗り入れるために登場。パノラマカーに通ずる名鉄特急の特徴と、国鉄に準じた機器を併せ持った。77年ブルーリボン賞の名鉄6000系はドアが片側に3カ所ある通勤車。今も広見線など各線を走る。その後も80年ローレル賞の100系、85年ブルーリボン賞の8800系「パノラマDX」が続く。2006年ローレル賞の2000系「ミュースカイ」は中部国際空港開港に合わせ登場した。

廃線が迫る美濃町線を走る名鉄モ800形=2005年3月、北一色駅
旧美濃駅に保存されている名鉄モ870形(元札幌市交通局A830形、写真左)の先頭部と名鉄モ600形=2018年12月、岐阜県美濃市

 05年に廃線となった名鉄美濃町線には、ローレル賞受賞車両が集まっていた。1971年に選ばれたモ600形は、架線の電圧が異なる区間を直通できるよう作られた。各務原線の田神駅近くに設けられた分岐点を通り、直流600ボルトの美濃町線(田神線含む)から、直流1500ボルトの各務原線に直通、新岐阜(現名鉄岐阜)駅まで乗り入れた。2001年には、超低床構造を取り入れたモ800形が受賞。1966年受賞の札幌市交通局A830形は、二つの車体を台車でつなぐ連接車の路面電車で、76年に3編成が名鉄に移籍。冷房を付けるなどの改造をした2編成が、同線の廃線まで走った。

1985年ローレル賞の樽見鉄道ハイモ180形=2005年4月、本巣駅

 岐阜県内のローカル鉄道にも、栄光に輝いた車両がいる。樽見鉄道の初代レールバス、ハイモ180形が1985年ローレル賞に選ばれた。旧国鉄樽見線を引き継いだ第三セクター樽見鉄道が、84年の開業に合わせ製造した。車体の各所にバス部品を活用し、大きさも一般的な鉄道車両と比べると小ぶり。旧国鉄の路線を第三セクター鉄道に移行させるのは、樽見鉄道は全国で3番目、岐阜県内でも2番目で、地域に密着した鉄道のスタートを彩った。2006年まで現役だった。

 広瀬丈士(ひろせ・たけし) 下呂支局や可児支局など岐阜県内での取材や紙面編集の傍ら、鉄道など公共交通機関を取材。2007年から20年にかけて岐阜新聞Webで掲載した「『鉄』記者ブログ」筆者。