スーパー前で手を振る美濃市長選の立候補予定者=昨年12月30日、同市内

 任期満了(1月25日)に伴う岐阜県美濃市長選(同9日告示、16日投開票)は、告示まで1週間を切った。3選を目指す現職の武藤鉄弘氏(69)と、元市税務課長で新人の村井和仁氏(55)が無所属での立候補を表明しており、8年ぶりの選挙戦に市内では選挙ムードが徐々に高まってきた。現職と元市幹部による一騎打ちの構図で、武藤市政の継続か刷新かが争点となりそうだ。

 「現市政は思いつきや刹那的な施策が進められ、施策と民意に大きな乖離(かいり)がある。生まれ育った大好きな美濃市を良くしたい」。村井氏は昨年12月の事務所開きで、市職員だった経験を踏まえ、現市政を批判。支持者に「市の再起動」を訴えた。一方の武藤氏は同11月に記者会見で、財政力指数の改善や財政調整基金の増加といった財政健全化など2期8年の成果を強調。翌12月の事務所開きでも「皆さんの力添えを頂き地域活性化を進めたい」と3選への意欲を語った。

 市議会の支持は割れている。市議13人のうち、最大会派「市政クラブ」を中心に7人が武藤氏の事務所開きに出席。村井氏の事務所開きでは、1人会派の3人があいさつした。

 村井氏は昨年8月の出馬会見後は、知名度不足を課題に挙げ、市内の主要交差点で連日街頭活動を展開する。年末は市街地のスーパー前で「美濃市を再起動」ののぼりを掲げ、支持を訴えた。自民、公明両党の推薦を取り付けた武藤氏は、選対本部長を務める佐藤武彦県議の後援会を軸に組織を固め、浸透を図る。

 市選挙管理委員会によると、市制が施行された1954年から前回まで計18回の市長選のうち、選挙戦となったのは9回。投票率は2014年に66・09%と初めて60%台になったものの、それ以前は70、80%台で他市町と比べても高い水準。選挙戦になれば投票に熱心な土地柄といえそうだ。

 ただ、今回は「目立った争点が見えない。2人の違いもよく分からない」という市民の声も少なくない。選挙を機に具体的な政策論争を求める声も上がる。市内の団体職員の女性は「この2年は新型コロナウイルスの影響下で市民の芸術、文化活動が何かと制限されることが多かった。市民が文化活動に参画しやすい環境づくりの観点で候補者の政策を知りたい」と話す。ある保育関係者は「子育て世帯の支援はもちろん、保育の現場や運営側にも目を向け、長期的視点に立った施策を打ち出してほしい」と願う。

 今月6日には美濃青年会議所による両氏の公開討論会が予定され、政策の違いや争点が明確化するのか注目される。