昨年の東海ダービー馬カツゲキキトキト。今年のオグリキャップ記念も制覇した
笠松・新緑賞はサザンオールスター(10)が勝ち、イスタナ(5)が2着。ともに東海ダービーに参戦する
東海ダービーにマルヨアキト、アペリラルビーで参戦する佐藤友則騎手(左)と向山牧騎手
迫力あるレース映像が楽しめる笠松競馬の「清流ビジョン」

 今年の東海ダービー馬は「笠松か、名古屋か、どっちだ」。

 日本ダービーの次は、地方競馬の「ダービーシリーズ」が熱い。6日に名古屋競馬場で行われる東海ダービーは、本命馬不在で混戦ムード。笠松からは、園田の3歳牝馬重賞・のじぎく賞を制覇したアペリラルビーら4頭が参戦する。近年劣勢が続いている笠松勢だが、7年ぶりの東海ダービー制覇に燃える。

 ダービーシリーズは、佐賀を皮切りに熱戦が繰り広げられており、7日には東京ダービー(大井)も開催。今年から高知優駿(18日・高知)、石川ダービー(20日・金沢)が新設され、昨年までの「ダービーウイーク」を刷新し、計8競走が行われる。

 金沢勢も参戦していた東海ダービーは、石川ダービー開催に伴って東海勢限定になった。昨年はカツゲキキトキト(名古屋)が7馬身差で圧勝。地方競馬の大将格として、今年のオグリキャップ記念も優勝。中央の平安Sは回避したが、今後はダートグレード制覇が大きな目標となる。

 東海ダービーの枠順は次の通り決まった。

 6日・名古屋11R 東海ダービー(SPⅠ)

      (1900メートル、12頭)

                 騎手

①1フリーゴーイング     加藤聡一

②2マルヨアキト        佐藤友則

③3ケイサンパルプンテ    柿原翔

④4ドリームズライン     大畑雅章

⑤5サンタンパ         岡部誠

⑤6イスタナ          藤原幹生

⑥7グレイトデピュティ    島崎和也

⑥8カツゲキマドンナ     木之前葵

⑦9アペリラルビー      向山牧

⑦10サザンオールスター   吉井友彦

⑧11クインザドリーム     戸部尚実

⑧12シュヴァルミニョン    丸山真一

 出走馬には、重賞ウイナーが7頭もいる。笠松勢は、のじぎく賞Vのアペリラルビー、駿蹄賞2着のマルヨアキト、ライデンリーダー記念Vのイスタナ、中京ペガスターカップVのグレイトデピュティが挑む。笠松のリーディング・佐藤友則騎手が乗るマルヨアキトは、ジュニアキングを制したJRA認定レース勝ち馬。名古屋中心のローテーションで一発を狙う。

 名古屋勢は8頭。笠松・新緑賞を制したサザンオールスター(吉井友彦騎手)は、乗り慣れた吉井騎手が手綱を取る。カツゲキキトキトの妹カツゲキマドンナは木之前葵騎手の騎乗で、園田クイーンセレクションVの再現を狙う。

 昨秋のラブミーチャン記念を勝ち、強敵だった金沢・ヤマミダンスは石川ダービーに向かい、笠松勢にも久々にチャンスが巡ってきた。トライアルの駿蹄賞はドリームズラインが制覇。笠松勢のマルヨアキトは11番人気で2着、ゴールドブレードが10番人気で3着に食い込み、3連単は130万円近い大波乱となった。ドリームズラインの大畑雅章騎手は「昨年のカツゲキキトキトに続き、東海ダービー連覇を目指します」と宣言した。

 笠松勢はこのところ、他地区での重賞戦線でも活躍。のじぎく賞では1番人気アペリラルビー(向山牧騎手)が、4コーナー6番手から豪快に差し切って優勝する快挙。07年のライデンリーダー記念(優勝カキツバタフェロー)以来の重賞制覇となった向山騎手は「最後はいい脚を使うので、末脚を信じて乗った。直線では勢いがあり、勝てると思った」と会心のレース。栗本陽一調教師にとってもうれしい重賞初制覇になった。

 アペリラルビーは6月14日の関東オークス(川崎、JpnⅡ)に向かう予定だったが、のじぎく賞制覇で軌道修正。東海公営の厩舎関係者にとって最高の栄誉である東海ダービーを目指すことになった。JRAでは未勝利だったが、笠松移籍後に4連勝を含め5勝目。夏に強い牝馬が暑さとともに急成長し、V争いの最有力候補に躍り出た。末脚爆発で東海ダービー馬の称号を手にしたい。

今年で47回目を迎える東海ダービー。ダートグレード時代(1997~2004年)もあり、これまでの優勝馬は笠松15頭、名古屋23頭、金沢1頭、JRA7頭、。1980~90年代はリュウフレンチ、トミシノポルンガら笠松勢13頭が制覇した黄金時代。88年、オグリキャップは中央入りしていなければ、あっさりと獲得していただろう。2007年にマルヨフェニックスが制し、10年の女傑エレーヌを最後に笠松勢の東海ダービー馬は誕生していない。名古屋勢に押され気味の勢力図を塗り替えるためにも、そろそろ「笠松の底力」を発揮し、意地を見せたいところだ。

 初夏を彩る清流シリーズが開催された笠松競馬。4月に稼働した大型ビジョンの愛称には、全国から454件の応募があり、岐阜県らしく「清流ビジョン」に決まった。土曜、日曜日にはJRAの馬券が購入できる「J-PLACE」(笠松、シアター恵那)も盛況。笠松本場に来場したファンは、清流ビジョンで日本ダービーなどの迫力あるレース映像を楽しんでいる。中央のGⅠレースは6月も安田記念、宝塚記念と続く。