ジョインロゴ.jpg

 子育てをする中で、「子どもに絵本を読んであげましょう」という言葉を少なくとも一度は耳にしたことがあるのでは。パパやママも、本好きかどうかはさておき、「絵本は良いもの」というイメージを持っているでしょう。しかし、何がどう良いのかは、わかるような、わからないような…。

 読書の秋。今回のJoinでは、絵本について掘り下げてみましょう。
 

絵本は子どもと何かをつなぐ存在

 まずは「なぜ絵本がいいのか」という点からお話しますが、キーワードは「つなぐ」です。

●子どもと周りの世界をつなぐ
●子どもと言葉の世界をつなぐ
●人間関係、人との関わりをつなぐ
●過去や未来、違う国とつなぐ

などの効果があると考えています。いずれも心を育てていくことにつながりますし、本への入口としても大きな役割があると思います。

 絵本は、毎年、1000冊前後出版されていますので、どんな絵本を読めばいいのかと迷われる方も多くいらっしゃいます。ただ、「必ず読まなければならない絵本」というものはありませんので、パパ、ママが一緒に楽しみたいと思う絵本を手に取るところからはじめていただければと思います。「毎日読んであげなければ」「評判の良い絵本は一通り読んであげなければ」と義務に思う必要はありません。「楽しい」が大前提ですので無理をせずに気楽に向き合えば良いと思います。

おすすめの絵本=子どもが好きな絵本

いろんなお話を読んで子どもの好きな本を見つけよう!

 よく、「おすすめの絵本は」と聞かれるのですが、「子どもの好きなものがでてくる絵本」というのが私の答えです。1歳位の子にも好きなリズムや音があります。「電車が好き」「恐竜が好き」などがあれば、そういった絵本を一緒に選ぶと良いですね。迷ったら図書館の司書さんに聞いてみるのもよいと思います。公立図書館では子どものコーナーに力を入れているところもありますので、きっと親身になって答えてくれますよ。

 また、「同じ絵本ばかり読みたがる」という相談も受けますが、ぜひ何度も読んであげてください。きっとその絵本には、その子を引き付ける何かがあるのです。「何で好きなんだろう」と考えながら読むことで、子どもの新たな一面に気付けるかもしれません。

絵本には、年齢の下限はあっても上限はなし

 兄弟や姉妹の場合、上の子と下の子、どちらに合わせて本を選ぶべきかという質問もよく受けますが、基本的には下の子に合わせるとよいでしょう。1歳の子には1歳の、3歳の子には3歳の楽しみ方があります。絵本には下限があっても上限はありませんので、上の子も楽しめると思います。

 それでも下の子が寝た後に、上の子のためだけに読んであげる時間が作れたらいいですね。なかなか難しいとは思いますが、短くてもいいので自分のためだけの時間を作ってあげてください。その経験はずっと大切な思い出として心に残ることでしょう。せめて「読んでみる?」などの声掛けはするようにしてくださいね。

今回お話をうかがったのは

東海学院大学短期大学部幼児教育科 教授
杉山 喜美恵 先生
 

東海えほんの森でお気に入りの一冊を探そう!

 杉山先生が勤務する東海学院大学・東海学院大学短期大学部には「東海えほんの森」という絵本専門施設があり、誰でも利用することができます。大きな木のオブジェや可愛らしいキノコの椅子、遊具などのある明るい室内に1800冊の絵本がずらり。きっと親子ともお気に入りのスポットになるでしょう。

絵本の中みたいな空間で楽しく絵本を読もう

東海えほんの森

【場所】東海学院大学・東海学院大学短期大学部附属図書館1階(各務原市那加桐野町5-68)

【開室情報】木曜日 10:00〜12:00/土曜日 10:00〜16:00

【貸出冊数期間】5冊以内/14日間
※貸出手続きには利用者カードが必要です。身分証 明証を提示して手続きをしてください。

【お問い合わせ】TEL 058-389-2969(東海学院大学・東海学院大学短期大学部附属図書館)

 

 杉山先生のお話では、「おすすめの絵本=好きなものがでてくる絵本」ということでしたが、それでも「みんながどんな絵本を読んでいるのか知りたい」というパパやママもいるのでは。

4つの出版社に、人気・おすすめの本ベスト3を伺いました。絵本選びの参考にどうぞ。
 

童心社

【01】
いない いない ばあ
松谷みよ子 文/瀬川康男 絵

いない、いない、ばあ。にゃあにゃが、ほらね、いない、いない……。ネコ、クマ、ネズミ、キツネなど動物たちが、ページをめくるたび「いないいないばあ」します。1967年の刊行から半世紀あまり。2020年には日本の絵本で初めて700万部を突破し、現在735万部を超えるロングセラー絵本です(※株式会社トーハン発行「ミリオンぶっく 2023」調べ)。
 

【02】
14ひきのあさごはん
いわむらかずお 作

『14ひきのひっこし』と同時に刊行された、人気ロングセラー絵本「14ひきのシリーズ」の最初の1冊。すがすがしい森の朝を舞台に、14ひきたちの1日のはじまりを描いた、累計部数100万部をこえる人気のロングセラー絵本です。
 

【03】
ベッドのなかはきょうりゅうのくに
まつおかたつひで 作・絵

おやすみ前、ぼくはお母さんに本を読んでもらうんだ。でもあかちゃんの泣き声が聞こえてきて、お母さんは出ていっちゃった。ぼくは、ベッドの中にもぐってほらあなたんけんすることにした。進んでいくと、何とそこは大好きな恐竜のせかい。迷子になったランベオサウルスの子・ベオと出会ったぼくは、ベオのお母さんをさがす旅に出る。
 

西村書店

【01】
どんなきもち?
ミース・ファン・ハウト 作/ほんまちひろ 訳

いま、どんなきもち?カラフルなさかなたちが、気持ちを言葉で表すお手伝い。自分のきもちを言葉にするのって、けっこうむずかしいよね。わくわく、もじもじ、むしゃくしゃ、どきん。おさかなたちが、気持ちを言葉で表現するお手伝いをしてくれるよ。
 

【02】
世界に生きる子どもたち すごいね!みんなの通学路
マカーニー 文/西田佳子 訳

世界のさまざまな地域に住む子どもたちは、どうやって学校に通っているのでしょう。てくてく歩いて?バスや車に乗って?自然災害や、川の急流、けわしい山道、高いがけにも負けず、毎日懸命に学校へとむかう世界中の子どもたちの写真を収めました。
 

【03】
すごい!ミミックメーカー 生き物をヒントに世界を変えた発明家たち
ノードストロム 文/ボストン 絵/竹内薫 監修

「カワセミ」が新幹線に!生き物の世界にはおどろきがいっぱい。「ミミックメーカー」は、生き物のすぐれたところや、しくみを見つけて研究し、まねをして、人びとの役に立つ新しいテクノロジーや製品を発明する人たち。10人の「ミミックメーカー」を紹介しましょう。
 

福音館書店

【01】
ぐりとぐら
なかがわりえこ 作/おおむらゆりこ 絵

今年で刊行60周年!お料理することと食べることが何より好きな野ねずみのぐりとぐらが森で見つけた大きな卵。目玉焼きにしようか卵焼きにしようか考えたすえ、カステラを作ることに。でも、卵が大きくて運べません。そこでフライパンをもってきて、その場で料理することにしました。カステラを焼くにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきます・・・・・・。
 

【02】
きんぎょが にげた
五味太郎 作

きんぎょが1ぴき、金魚鉢からにげだした。どこににげた?ページをめくるたびに、にげたきんぎょがどこかにかくれています。子どもたちが大好きな絵探しの絵本。小さな子も指をさしながらきんぎょを探して楽しめます。
 

【03】
ねないこだれだ
せなけいこ 作・絵

夜の9時です。「とけいがなりますボンボンボン」こんな時間におきているのはだれだ? ふくろう、くろねこ、どろぼう……。いえいえ、夜中はおばけの時間。あれ? まだ寝ていない子がいますよ。おばけになってとんでいけ!
 

ポプラ社

【01】
パンダのおさじとフライパンダ
柴田ケイコ 作

料理人のクーさんは最近、料理を作るのがたのしくありません。そんな時、あやしいパンダ道具屋さんに渡されたのが「フライパンダ」。中には小さなパンダの「おさじ」が入っていました。おさじが教えた呪文をとなえ、フライパンダのふたを開けると……あら不思議!普通の料理がパンダ料理に大変身。でも、フライパンダには守らないといけない約束があって--。
 

【02】
ねこいる!
たなかひかる 作

ねこがいるのか、いないのか。ただそれだけ!ナンセンスな展開と言葉の繰り返しが、子どもたちの笑いのツボを刺激します。神出鬼没なねこがクセになる、著者渾身の「頭は良くならない絵本」です。
 

【03】
ゆびたこ
くせさなえ 作

今度1年生になるのに、指しゃぶりがやめられない私。ぜったいやめたいのに…。ある日突然、親指のユビタコがしゃべった!?「あんたがいっぱい吸うてくれたから、こんなに成長できたわ。これからも、もっと指しゃぶりして、わいのこと大きくしてや〜」。ええっ!うそやろ、どうしよう・・・・・・。