〈PR〉

  岐阜、愛知、三重の3県を環状に連結する東海環状自動車道の未開通区間は、山県―大野神戸IC間、養老―大安IC(三重県いなべ市)間を残すのみになりました。このうち、養老ICと、大安ICの北西に位置する北勢IC(仮称)間は2026年度の開通に向けて工事が進んでおり、この区間の完成で、東海環状自動車道が全線開通となります。今回は養老―北勢IC間に位置する海津市の横川真澄市長、岡田均海津市商工会長、いち早く、海津スマートIC(仮称)の近隣に進出を決めた車体部品メーカー「ジーテクト」(本社・さいたま市)の執行役員で滋賀工場統括責任者の築山友彦氏に「東海環状自動車道全線開通への期待、海津市のまちづくり」をテーマにお話をうかがいました。
(聞き手は国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所長 松實崇博)

関西地方や三重県との関係強化に期待大

松實 東海環状自動車道の全線開通に向けて何を期待しますか?

横川 海津市では、東海環状自動車道の全線開通と海津スマートICのオープンを見据え、岐阜県土地開発公社とともに、「駒野工業団地」の整備を進めてきました。「ジーテクト」の進出が決定し、25年度中の本格稼働に向けてすでに新工場の建設工事が始まっています。第一期工事だけで、投資総額約125億円、雇用規模約100人と、雇用の創出、地元事業者の需要拡大など、経済効果はとても大きい。全2区画のうち、もう1区画についてもまとまりつつあり、本年度中には進出計画の概要をお知らせできそうです。全線開通により、三重県の四日市港や北勢地域の産業拠点と海津市をはじめとする西濃地域が直結するため、産業振興と企業立地への期待は極めて大きい。

海津PA・SIC(仮称)の進捗状況

 海津市はもともと農業のまち。この点に関しても動きがあり、昨年7月に「トヨタ自動車」と農業を通じた地域振興に関する連携協定を結びました。トヨタ生産方式「カイゼン」の普及による農業所得の向上やトヨタが生産の拡大に取り組む「高オイレン酸大豆」の産地化を促進するなどして、重要施策に掲げる「稼げる農業・雇用を生む農業の実現」を図っていきます。企業に選ばれる産地を目指すうえで、全線開通は絶好のタイミング。農業の面から見ても期待しかありません。

築山 当社の滋賀工場は新名神高速の甲賀土山ICから10分ほどのところにあります。スペースが不足してきたことに加え、電気自動車(EV)へのシフトを見据えた事業拡大を目指す中、新工場建設に向けて動いていくことになりました。

 新工場では、滋賀工場で行っている一部業務を担ったり技術指導したりと連携が必要になってきますので、滋賀と新工場は行き来しやすい位置にあることが必須。さらには主要取引先である自動車メーカーとの距離も重要な点。海津市に新工場を設け、そして東海環状自動車道が全線開通すれば、滋賀工場や主要取引先と1時間以内でつながれるようになります。早期の全線開通に期待しています。

岡田 05年に海津町、平田町、南濃町の3町が合併し、その翌年に商工会も合併して海津市商工会ができました。合併時には1169件の会員がいましたが現在は817件です。高齢化や後継者不足を理由にした廃業が、会員数の減少の理由の一つであると考えています。

 私はダンボールの会社を営んでいまして、山県市中心部のお客さまのところに今は1時間半ほどかけて商品を運んでいます。開通すればおそらく半分程度になるでしょう。全線開通で商圏が拡大されることで、海津市で商売をする方が増えるのではと期待しています。

おちょぼさんの愛称で知られる千代保稲荷神社

 観光に関しても大いに期待しています。おちょぼさんの愛称で知られる千代保稲荷神社や木曽三川公園は県内の誘客数においてトップ10の常連です。他にも海津スマートICができる場所の近くには津屋川が流れ、ハリヨやホタルも生息しています。彼岸花の県下最大の群生地もあります。海津市内の観光地は点と点でしたが、線で結ぶことで長い時間滞在してもらえる観光地にすることが不可欠。経済効果も期待していきたい。

海なし県に「港ができる」ほどのインパクト

松實 三重県と高速道路で初めてつながります。

横川 いなべ市と海津市は、今は車で数十分かかりますが、東海環状自動車道がつながれば、あっという間にいけるようになるでしょう。県境トンネルの工事はすでに始まっています。養老山地の中腹にある岐阜県側の入口は、海津市の平地部分から約70㍍の高さにあり、その入口まで高架橋が全長約2240㍍でつながります。天へと駆け上がっていくような高架橋で、この様子に多くの市民が期待に胸を膨らませています。

 北勢地域と岐阜県が直結するということは、海のない岐阜県に四日市港という港ができるのと同じ。それだけのインパクトがある道路整備事業だと思います。

 観光面においても、特に関西方面からのアクセスが飛躍的に向上することで集客エリアが広がります。さきほどの岡田会長のお話にもあったとおり、県内の地点別集客数のトップ10に入る観光スポットが2つもありながら、海津市に観光のイメージはありません。その最大の弱点は、観光客の滞在時間が短く、典型的な「通過型観光」に留まっていること。「滞在型観光」にどうやってシフトさせていくのか。その対策の一つとして、羽根谷だんだん公園でのキャンプ場の整備、コンテナホテルの誘致に取り組みました。キャンプ場へのオートキャンプエリアの増設や民間事業者と連携したグランピング事業の実施なども考えています。全線開通は、絶好の追い風となります。

築山 当社としましては、新工場の従業員の確保において、もちろん地元の方に働いていただきたいという思いはありますが、三重県もありきで考えています。滋賀工場は大きなまちにあるわけではないため、従業員の確保に大変苦戦しています。高速道路を使った通勤を認めるようにして、草津市内に住み、土山まで通う人が増えました。海津市の新工場においても、高速道路を使った通勤を認めることで、三重県から人を集められるのではと期待しています。

全線開通の年をターゲットイヤーに

松實 企業誘致や既存企業の拡張は、人口減少対策やまちづくりにもつながると思われます。

横川 20年の国勢調査の結果を受け、22年には平田町地域が岐阜県の平野部として初めて過疎地域に指定されました。27年の調査では、市全域の指定は避けられないと見込んでいます。最大の要因は、若い世代の転出です。若い世代は「暮らしやすさ」「働きやすさ」「子育てのしやすさ」などの様々な点を比較し、自らの居住地を選びます。働き口がないと当然、流出してしまいます。雇用の創出こそ人口減少対策に直結すると考えています。

 全線開通を待たずして、駒野工業団地をはじめ、西回りルート沿線への企業の集積は既に始まっています。昨年度末に策定した市の都市計画マスタープランでは、海津スマートICのオープンによるストック効果を見込み、周辺エリアを「産業誘導ゾーン」として位置付けました。駒野に続く、第二、第三の工業団地の整備や集客施設の誘致に全力で取り組んでいきます。

 このように、海津スマートICは、海津市の新たな「玄関口」となるだけでなく、海津市のまちづくりを大きく変えます。海津市は、全線開通が予定される26年度をターゲットイヤーとして全ての市政を進めています。

 そして東海環状自動車道の整備効果を最大化するためには、環状線の中心である名古屋へ向かう放射状の道路ネットワークの整備が重要。このため、名古屋方面への新たな移動ルートとして、海津市と愛西市を結ぶ長良川・木曽川への新架橋「愛津大橋(仮称)」の建設を目指しています。

 東海環状自動車道は、東海地方に欠かせない大動脈となります。その災害時のバックアップ道路であり、海津スマートICへのアクセス道となる国道258号の重要性はさらに高まります。国道258号の4車線化の早期実施を目指し、人流・物流の活性化を図っていきます。

築山 海津市や近郊の出身で、遠方で就職した方にとって、ジーテクトの存在が帰ってくるきっかけになれば。また、新工場の近くには高校がありますので高卒採用も期待しています。すでに海津市出身の方から「働きたい」という問い合わせを受けています。認知度を高めることで、人口減少の歯止めに貢献していきたい。

 まちづくりに関しては、ジーテクトでは再生可能エネルギーの活用に力を入れています。新工場でも準備を進めていますし、地下水も使わせていただきたいと考えています。新工場はジーテクトとして集大成の工場を目指しています。テラス付きの食堂やカフェ、庭などを設ける予定。生産や搬送の自動化を進め、人間は企画や改善などのクリエイティブな部分で力を発揮していただきます。

 海津市のまちづくりの目指すところは、当社の発展や安定にもつながりますのでウィンウィンの関係になると考えています。現在新工場の建築がスムーズに進んでいるのは海津市の皆さんの御協力のおかげです。完成後はもっともっと市の施策やイベントに積極的に協力していきたいと思います。

松實 ありがとうございました。地域の皆さんの期待に応えられるよう、一日も早い開通に全力を尽くします。

 左から、株式会社ジーテクト執行役員 滋賀工場統括責任者 築山友彦氏、海津市長 横川真澄氏、海津市商工会長 岡田均氏、国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所長 松實崇博氏=海津市役所

東海環状自動車道に関する、簡単なアンケートにご協力ください。

実施期間/令和6年1月19日(金)~2月18日(日)まで
アンケートの対象/15歳以上の方(中学生除く)

抽選で100名様にQUOカード500円分をプレゼント!アンケートの回答はこちら

 

【お問い合わせ】

国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所
(事務局)岐阜新聞社営業局
TEL.058-264-1158(平日9:00~17:00)

[PR]PRESENTED BY 国土交通省中部地方整備局岐阜国道事務所