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 郡上市と下呂市、中津川市を結ぶ全長約80㌔の高規格道路「濃飛横断自動車道」。岐阜県が事業主体で、全線開通すれば東海北陸自動車道と中央自動車道への連絡が容易になり、広域観光や産業の振興、災害時の緊急輸送道路としての活用が期待されています。

 現在ネックとなっているのが、つづら折りの険しい山道で通行の難所として知られる郡上市の八幡と和良を結ぶ堀越峠。バイパスの整備には高度な技術が必要とされることから、国による権限代行事業として今年度事業化されたことによって整備の機運が一気に高まりました。今回は日置敏明郡上市長と郡上市観光連盟代表理事の池田喜八郎氏が、「郡上市内の国道整備(堀越峠道路、郡上大橋架替、歩道整備)」をテーマに意見を交わしました。(聞き手は国土交通省中部地方整備局岐阜国道事務所長 松實崇博)
 

堀越峠道路の開通で東西の行き来が容易に

つづら折りで標高差約300㍍と急勾配の国道256号堀越峠

松實 濃飛横断自動車道の一部である堀越峠道路は、今年度から岐阜県の和良工区と共に事業を進めることになり、早速調査に着手しています。この堀越峠道路の整備に何を期待しますか?

日置 ご存じの通り堀越峠はくねくねと曲がっています。この峠を回避するための新しいルートを権限代行による国の直轄事業として取り上げていただき、大変感謝をしております。さらには和良工区についても岐阜県で事業化していただき感謝の極みです。この二つの事業が同時出発できたことで、堀越峠道路のトンネル堀削工事で出てくるズリ(残土)を和良工区の道路の築造に使うことができ、効率良く事業推進できる体制が整いました。

 今の堀越峠は雨や雪で通行止めになることが珍しくありません。和良は郡上市内で特に過疎化が進んでいるところの一つでもあり、新しい道路ができることで、生活や経済の停滞をなくし、地域活性化にもつながればと思います。

 岐阜県内は、東海北陸自動車道や国道156号、美濃加茂市から高山市へつながる国道41号などの南北軸の交通は整っていますので、東西軸の連絡網を構築することでダブルネットワークとして、縦軸のいずれかの道路が被災したときに、もう一つの方に移りやすくなるかと思います。

 また、濃飛横断自動車道によって郡上市と下呂市、東白川村、そしてリニア中央新幹線岐阜県駅(仮称)のある中津川市がつながることで、広域ネットワークが形成されます。観光に及ぼす効果のみならず、他にも諸々の効果が期待できるのではと、事業化されたことを喜ぶと共に、できる限り早く開通することを願っています。

池田 私は和良の生まれで今も住んでいますので住民の立場から申し上げますと、堀越峠の通行には大変苦労しています。大雪で3~4日間も通行止めになったこともありますし、雨量規制でもストップします。通行止めになった際は国道41号に出たり、県道58号関金山線に抜けたりと、大きく迂回(うかい)していますのでそういった負担軽減への期待は大きいです。

吉田初三郎画「岐阜県八幡町図絵」(1935年)では、右側の山に「堀越の櫻」と記されている 画像提供:郡上市歴史資料館

 観光面に関しても大きな期待を寄せています。郡上市の観光入り込み客数ですが、2013年は650万人ほど。コロナ禍では400万人以下に落ち込みましたが昨年は速報値で533万人と、23年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで一気に伸びました。郡上市は、下呂市と高山市、関市、岐阜市などと連携して観光PRをしていますので、この道路ができればより多くの方に来ていただけるのではと期待しています。

 さらに、これまでは関東圏のお客さまは長野県、静岡県あたりまでで、岐阜県まではなかなかお越しいただけない傾向にありましたが、リニア中央新幹線、岐阜-長野間の中部縦貫自動車道や濃飛横断自動車道が整備されることで、長野県とのアクセスが良くなると郡上市内にまで足を運んでいただけるチャンスが広がります。26年春に福井県内の中部縦貫自動車道が全線開通して郡上市の白鳥ICとつながれば、福井県からのお客さまも増えると期待しています。

郡上大橋の架け替え計画、歩道の整備進む

松實 濃飛横断自動車道以外にも、郡上市内において国交省はいくつもの事業を進めています。20年には国道156号の大和改良が完成しました。直近ですと白鳥町為真の歩道整備が無事完成しました。郡上市周辺の国が管理する道路に期待することは何かございますか。

歩道の整備前(白鳥町為真)
歩道の整備後(白鳥町為真)

日置 白鳥町為真の国道156号ですが、歩道が片側にしか整備されていないところがありました。雪の時期は積雪で道幅がさらに狭くなったところを、子どもたちが行き交う自動車とすれ違いながら通学していました。今回歩道ができたことで、子どもたちが安心して通学できるようになりました。白鳥町大島も同じような状況で現在整備をしていただいています。車が円滑に通れるのはもちろん、歩行者の安全も大切。事業が進みつつあることをありがたく思っています。国道156号はまだまだ歩道の整備がされていない区間が多いため、今後も整備が進むことを期待しています。

大型車同士のすれ違いが困難な郡上大橋

 郡上八幡IC近くの郡上大橋については早期の完成を期待しています。1957年の完成当時は立派なものでしたが、その頃と比べて今は交通量が増えていますし大型車も多くなっています。車道幅員は約6㍍と狭く、大型車両がすれ違うには危険が伴います。架け替え工事を進めようとしても、迂回道路の条件が厳しく計画に時間がかかりましたが、岐阜国道事務所が現道交通を遮断することのない架け替え工事を計画し、事業化してくださいました。

 郡上市の南北を結ぶ大きな橋。ぜひ早く通していただきたいと思います。

池田 郡上市にとって重要な道路という位置付けの国道156号は、防災事業による改良を進めていただいておりますが、雨量規制のため、美並から八幡の間、大和と八幡の間がストップすると八幡に入れなくなる、または出られなくなる可能性があるため観光ルートとして不便に感じています。さらなる改良に期待しています。

災害に強い強靭な道路の大切さを再認識

松實 県内でもいろんな道路整備が進んでいます。東海環状自動車道は間もなく全線開通ですし、揖斐郡揖斐川町と福井県今立郡池田町を結ぶ国道417号の冠山トンネルが開通し、福井県との往来が盛んになりました。

 1月の能登半島地震では、陸海空の交通網が大きなダメージを受けました。防災的な観点も含めて、県内の道路整備についての思いをお聞かせください。

日置 能登半島地震からは学ばなければならないことが多くありました。一つはネットワークの重要性。支援を受けるための道路が整備されていることの大切さが広く知られるようになりました。そういった意味では、東海北陸自動車道や中部縦貫自動車道など、郡上市へはいろんなところから入ってくることができる道路がありますが、いざというときに機能が発揮できるようにしていかなければなりません。

 二つめは、郡上市は森林の面積が約90%で、山や川、谷で入り組んだ地形に人々が分散して住んでいますので、これを連絡する県道や市道には崩れたら集落の孤立化を招く箇所がいくつかあるということ。道路を強靭なものにしていかなければなりません。市も引き続き努力してまいりますが、国の支援も必要だと考えています。

池田 能登半島は三方が海に囲まれ、能越自動車道やのと里山海道が打撃を受け、往来が難しい状況が生じました。石川県七尾市、輪島市をはじめ能登の観光地は大きな被害を受けました。また、小松市の小松空港は昨年、台北、上海、ソウル便が再開しましたが、そこから白川郷を経由して郡上市へ来るというインバウンドのお客さまはほぼいないのが現状です。助け合いながら復旧をサポートしたい。

 安全安心な道路を整備していただくことが住民にとってはもちろん観光客にとっても大事なこと。今後も安全安心な国土づくりにぜひご尽力いただきたい。

松實 ありがとうございました。事業推進に向けて今後ともよろしくお願いします。

左から、郡上市観光連盟代表理事 池田喜八郎氏、郡上市長 日置敏明氏、国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所長 松實崇博氏=郡上市役所

[PR]PRESENTED BY 国土交通省中部地方整備局岐阜国道事務所