美濃加茂市政や選挙への思いを書いたボードを見せ合う立候補者と支持者ら。大声を出さずに盛り上げる効果を狙っている=16日、同市内

 新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、岐阜県美濃加茂市長選(23日投開票)と岐阜市長選(30日告示、2月6日投開票)の各陣営が、コロナ対策に細心の注意を払って活動している。「演説会に大勢の人を集めたいが、感染者を出すわけにもいかない」と、夜間でも屋外で街頭演説したり、リモートでの応援演説を依頼したりするなど、工夫を凝らして市民に政策を訴えている。

 「選挙期間中にオミクロン株が広がることは想定していた。戦略の見直しにまでは至っていない」。美濃加茂市長選に立候補している現職伊藤誠一候補(65)と前市長藤井浩人候補(37)の両陣営の選対幹部は口をそろえる。

 伊藤陣営は、16日の告示後、夜間の個人演説会を全て中止し、代わりに少人数による「語る会」を連日二部制で開いている。思いを伝える機会を確保するため街頭演説の数は増やした。陣営の幹部は「屋内に人を集めることはできないが、陣営から感染者を出さないために万全を期す」と狙いを語る。

 伊藤候補は、現職の市長としてコロナ対応の公務に追われる時間も増えているが、連日、動画を会員制交流サイト(SNS)で配信して政策の浸透を図っている。演説会場では、応援演説をリモートで行うこともある。20日の街頭演説では、陣営関係者が大声を出す代わりに「そうだ」と書かれた相づちのボードを掲げ、会場を盛り上げた。

 藤井陣営は、個人演説会を全て屋外に切り替えた。毎日午後7時から行っており、突き刺さるような寒風の中で開くことになるが、それでも連日大勢の有権者が訪れている。陣営幹部は「有権者にとって、政策を聞くというのは貴重な権利。(感染拡大に伴い)それをやらないのは無責任になる」と語る。

 藤井候補の出陣式では、支持者にメッセージボードを渡し、選挙への思いを書いてもらって一斉に掲げた。声を出さずに士気を高める狙いだ。20日夜は、選挙事務所の駐車場で動画生配信とドライブインシアター方式を併用した「ハイブリッド総決起大会」を開催。車内で演説を聞いた支持者は、声や拍手の代わりにクラクションを鳴らした。

 岐阜市長選も同様。再選を目指して無所属での立候補を表明している現職の柴橋正直氏(42)は、17日に県独自の非常事態宣言が出たのを受けて、18日から街頭演説と市政報告会を取りやめた。企業の朝礼回りは続けており、選挙期間中の活動方針は27日の選対会議で話し合う予定だ。

 無所属での立候補を予定している市民団体代表で新人の丹原美穂氏(67)は、選挙期間中のミニ集会を中止にするかどうか検討中で、既に一部は中止を決めた。連日続けている街頭演説は「自分の思いを伝える場がなくなってしまう」として、支援者の距離を取った上で継続する。