一人でも多くの女性が、思い描く人生を歩めるように。
「わたしのキャンバスプロジェクト」は、一人でも多くの女性が子宮頸がんをはじめとした婦人科系疾病にくじかれず、思い描いた人生を歩んでほしいという願いのもと、年間を通して女性の健康を啓発・応援していくキャンペーンです。
presented by 岐阜新聞女子net
vol.01 知っておきたい、子宮頸がんのこと
女性の健康を願ってスタートした「ぎふ子宮頸がん予防啓発キャンペーン わたしのキャンバスプロジェクト」も今年で10年目。
毎年、子宮頸がんをはじめ女性が罹患する可能性がある婦人科系疾患について、情報を発信しています。
第1回のテーマは、子宮頸がんについて基本的な知識を紹介。子宮頸がんに関する疑問を県内の産婦人科医に聞いてみました。
PROFILE
せきレディースクリニック院長・産婦人科専門医
友影 九樹 先生
2002年に東京医科大学卒業。
金沢大学医学部附属病院、福井県立病院等の勤務を経て、2019年にせきレディースクリニックを開業。
?早期発見が大切といわれる子宮頸がん。その理由は?
子宮にできるがんには、「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2つがあります。子宮頸がんは、膣につながる子宮の入り口あたり(頸部)に発生するがんです。子宮頸がんは、初期症状がほとんど出ないのが特徴で、自覚症状がないまま進行してしまうことがあります。進行すると、性行為の時の出血や生理日以外の不正出血、茶褐色・黒褐色の異常なおりもの、下腹部の痛み、足腰の痛み、血の混じった尿などの症状が現れ、さらに骨盤内のリンパ節へ転移したり、周辺組織に広がったりします。
子宮頸がんは、早期発見・治療できれば予後がいいがんとされているので、自覚症状がない段階で子宮がん検診を受けることが大切です。
初期の症状
ほとんどの場合、自覚症状なし
進行後の症状
●性行為時や生理日以外の出血
●茶褐色や黒褐色のおりもの
●足腰や下腹部の痛み
●血が混じった尿 など
?どの年代から注意が必要?
国立がん研究センターのデータでは、子宮頸がんは年間約1万人(2019年)が罹患し、約2800人(2020年)が死亡しており、罹患者数・死亡者数ともに増加傾向にあります。最もかかりやすい年代は30~40代。女性の妊娠・出産・育児をする年齢と重なることから、「マザーキラー」とも呼ばれています。
しかし最近は、20~30代で発生するケースが増えており、25~34歳の浸潤がんの中では、乳がんに次いで2番目に多いのが子宮頸がんです。発症のピークも以前は40~50代でしたが、現在は30代後半になっており、年々若年化が進んでいることが問題となっています。そのため、子宮頸がん検診は20歳からの受診が推奨されています。また、子宮頸がんワクチンは、初めて性交渉を経験する前に接種するのが最も効果的といわれているため、若年期から予防や検診への意識を高めることが重要です。
?ワクチンで予防できるのはなぜ?
子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染です。HPVは性交渉によって感染するもので、性交渉の経験がある女性なら、一生に一度は感染する可能性があるといわれています。もし感染したとしても、9割の人は自分の免疫力で自然とウイルスを排除できますが、1割の人は感染が持続。そのうちの一部が数年以上かけて、子宮頸がんになります。
ウイルスであるHPVは、インフルエンザなどと同様にワクチンを接種することで感染を予防し、子宮頸がんの発症を防ぐことができます。HPVにはさまざまな型があり、現在、日本では2つの型(16・18型)に対して感染を予防する2価ワクチン、4つの型(6・11・16・18型)を予防する4価ワクチン、さらに9つの型(6・11・16・18・31・33・45・52・58型)に対応した9価ワクチンの使用が承認されています。
接種後の感染予防効果はありますが、完全に予防できるわけではありません。性交渉のある年齢から(子宮頸がんワクチンの接種だけでなく)、2年に1回、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。
HPVワクチンの定期接種(公費)
2007年4月2日~2012年4月1日生まれの女性は、自己負担なし(公費)で子宮頸がんワクチンを接種することができます。2価ワクチン、4価ワクチンのほか、2023年4月からは9価ワクチンも定期接種に追加され、接種回数も9歳以上15歳未満の方は、3回から2回に変更されました。
キャッチアップ接種
1997年4月2日~2007年4月1日生まれで、子宮頸がんワクチンについて過去に合計3回の接種を完了していない女性も、2025年3月31日までキャッチアップ接種が可能です。
?子宮頸がん検診の検査方法は?
子宮頸がん検診では、まず月経周期や生理痛の有無、月経の量、初潮や妊娠、閉経の年齢などを問診表に記入し、医師から問診を受けます。その後、下着を脱いで内診台に上がり、膣内に膣鏡を挿入して子宮頸部の炎症の有無やおりものの状態などを視診します。最後に、ブラシやヘラなどで子宮頸部の粘膜を軽くこすって細胞を採取し、顕微鏡で調べる細胞診を行います。
検査は、産婦人科などの医療機関で受けることができ、ほとんど痛みはなく短時間で済みます。「要精密検査」の結果が出た場合は、必ず医療機関を受診し、さらに詳しい精密検査を受けましょう。反対に、精密検査不要と判定された場合も、引き続き2年に1回の検診を受けるようにしてください。
主催|岐阜新聞社 後援|岐阜県産婦人科医会