「不幸な猫がいないことは不幸な人間がいない、ということにつながる」と語る河瀬麻花さん=岐阜市正木、ネコリパブリック岐阜店

 2月22日は「猫の日」。今年は2022年2月22日と「2」が6つも並ぶ珍しい猫の日だ。あらためて“ネコ愛”を新たにする愛猫家も多いと思われるが、あえて猫の日に考えたいのは、猫の殺処分問題。2020年度は、岐阜県内だけでも846匹、全国では2万匹弱の猫の引き取り手がおらず殺処分されたという。何が問題となっているのか―。

 

 「保護猫問題は、孤立や貧困など人間の社会問題とリンクする」と指摘するのは、殺処分をゼロにする目標を掲げる「ネコリパブリック」(本部・岐阜市)を運営する河瀬麻花さん(47)。「猫を救うことが社会を良くすることにつながる」と訴え、14年から猫を保護して里親に譲り渡したり、猫カフェを通じて啓発したりする活動を続けている。

◆飼育放棄や多頭飼育崩壊目立つ

 環境省の統計によると、行政による殺処分は25年前まで全国で年間約30万匹もあった。各地のボランティアによる保護猫活動が盛んになり、20年度には2万匹以下にまで減ったが、河瀬さんによると、近年は身寄りのない高齢者が飼育を続けられなくなったり、不妊手術をしないまま多頭飼育崩壊に陥ったりするケースが目立つという。

 殺処分ゼロの目標に向けて必要な点は四つあると指摘する。保健所の猫を引き取る「受け皿」づくりや里親を探す「出口づくり」はもちろん、屋外に出る猫や野良猫が無計画に繁殖するのを防ぐための去勢、すなわち「蛇口を閉める」に位置付ける不妊手術の徹底。最後は、これらの活動の「継続」だという。

◆ボランティアでは継続困難、株式会社化

 ボランティアが身銭を削る活動に頼ると「継続」が難しいため、ネコリパブリックは全国的にも珍しい株式会社化した。岐阜市正木の猫カフェは80匹以上の保護猫が客を出迎え、癒やしの店として地域に定着。河瀬さんは会員制ウェブサイト(SNS)を活用した情報発信なども長く続けており、「理解は格段に広がった」と手応えを語る。

 ネコリパブリック設立から8年たち「殺処分ゼロ」の目標は未達成だが、22日からはリスタートとして新たな取り組みに乗り出す。同日はYouTube公式チャンネルで保護猫紹介などのオンラインイベントを開き、視聴者数に応じた寄付金を企業から募る。

◆ふるさと納税を活用、不妊手術専門病院計画

 さらに、飛騨市と連携してふるさと納税を活用し、4月に約5千万円の資金を獲得する見込みで、同様の事業は全国初だという。資金を基に大阪市に不妊手術専門病院を開くほか、ふるさと納税の活用も全国に広げる計画だ。

 河瀬さんは「猫を飼いたい人が保護猫を選ぶ。猫助けとなる商品を買う。多頭飼育崩壊など異変を感じたら行政に相談する。一人一人が少し心を寄せるだけで大きな波になる」と力を込め、「猫に優しい社会は人も住みやすく、人に優しい社会といえる。猫は地球を救う、です」と笑顔を見せる。

 【ネコリパブリック】 保護猫カフェなど全国7店舗、非営利のシェルター2カ所を運営するほか、アパレルブランド、イベント事業も手掛ける。河瀬さんは昨年11月~今年2月に本紙くらし面に「ニャンパワーで世界を変える」を連載した。