手術を済ませ片方の耳先がカットされた猫=大垣市内

 飼い主のいない野良猫の避妊・去勢手術などを進めるいずれもNPO法人の「あすねこ」(岐阜県大垣市)と「犬猫みなしご救援隊」(広島市)による、地域で増えて問題になっている多数の野良猫などに避妊・去勢手術をする取り組み「一斉TNR」が、大垣市で行われた。2日間で、県内各地から持ち込まれた223匹が手術を受けた。

 TNRは「トラップ=捕獲」、「ニューター=避妊・去勢」、「リターン=元に戻す」の頭文字。猫は繁殖力が強く年間2~4回ほど出産するため、野良猫は急激に増加し、避妊・去勢手術をしない飼い猫も多頭飼育崩壊を引き起こす恐れがある。しかし、野良猫の寿命は3~5年で、避妊・去勢手術を施せば頭数は年々減少し、不衛生な環境による病気や事故などで死ぬ猫も減らすことができる。また、野良猫に餌をやる住民が地域で孤立するといった住民間のトラブルの防止も期待できるという。

 あすねこによる一斉TNRは今回が初めて。寄付を元に、一般の手術費用の半分以下の負担で実施。場所は大垣市禾森町の馬渕総合登記測量事務所が提供し、獣医師が処置をした。手術後に屋外で生活する猫のため、抜糸の必要がない糸を使用し、ワクチン接種やノミの駆除も行った。

 雄猫を連れてきた本巣市の50代女性は「ご飯のときしか来ないが、増えると困るし近所の目もあり手術を決めた」と話し、安八郡神戸町の70代男性は「母猫に餌をやったら子猫が4匹生まれ、1匹は事故で死んでかわいそうだった。手術できて安心」と語った。他に、あすねこが多頭飼育崩壊の現場で捕獲した猫も手術を受け、全ての猫に避妊・去勢手術をしたことを示す耳先のカットが施された。

 あすねこの野村まりさんは「ペットの猫と違い野良猫にかけられる金額は限られる。一斉TNRをしてみて、改めて困っている人が多いと分かった。望まれない命が増えず、猫も人間も安心して暮らせるよう今後も続けたい」と話した。