障害のある人たちでつくる「劇団・ドキドキわくわく」が11月23日、岐阜市司町のみんなの森ぎふメディアコスモスで創作劇を披露します。特別支援学校で「女子とは腕一本分離れないといけない」と教わった障害のある青年が、好きな女の子との距離について悩む物語です。練習が佳境を迎えています。

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 「そこの二人、くっつきすぎ! 男と女が離れるのは規則なの! そんなんだと立派な大人になれんよ!」

 創作劇「こえるよ!今を!」はこんなナレーションから始まります。特別支援学校を卒業したタカシ君は同級生だった女の子のことが気になります。ですが、常に頭に浮かぶのは学校で教わった「女子との距離は腕一本分の距離をあける」。こだわりの強いタカシ君は仲間とも口論になります。

「女子とは腕一本あけないといけないんだ!」と熱演するタカシ君(右)=岐阜市日光町の日光コミュニティセンター

 友人   「腕一本分あけないと警察に捕まるのかよ!」

 タカシ君 「ああ捕まる! オレは犯罪者になりたくないんだ!」

 劇団は約20年前に設立されました。知的障害や自閉症の人たちが、劇を通して人とのコミュニケーションや性教育を学ぶ場として活動してきました。現在は岐阜市など県内に住む20代後半から30代後半の26人が参加しています。コロナ禍を除き、年1回は公演。性教育をテーマに障害者自身が深く関わる劇団は全国でもほとんどないようです。

 保護者らによると、障害のある子どもたちは性については「いつもダメダメと言われてきた」といいます。ダメ、だけでいいのか、ダメならどう学んでいくか、という思いが活動につながっているといいます。

 劇ではこんなせりふもあります。

 「私たち、付き合ってもいいけど、子どもはダメって親から言われてる」

 「私たち付き合っちゃダメなのかな」

 「腕一本あけろ、というのは先生が間違っていたんじゃない? 心配して言ったんじゃない?」。

 19ページの台本にはリアルな悩みが書かれています。一方、ミュージカルのように歌って踊るシーンもあります。

ダンスのシーンを練習するメンバーら=岐阜市日光町の日光コミュニティセンター

 タカシ君役の伊東龍馬さん(26)は「腕一本あける、という教えは知らなかった」と言います。ですが、友だち、職場の人たちなどいろんな関係があることを伝えたいと言います。「学んだことを表現したい」と意気込みます。

 公演は23日午後2時10分から、ぎふメディアコスモス1階みんなのホールで。入場無料。第31回オンリーワン私たちの芸術祭(実行委など主催)の一環で、音楽コンサートやダンスステージもあります。