
施設内での研究発表に熱 チーム組み、年2回発表(西美濃さくら苑 池田町)
揖斐郡池田町の介護老人保健施設西美濃さくら苑は、研究に力を入れており、県、東海北陸ブロック、全国などさまざまな介護老人保健施設大会(老健大会)で、この10年間に40を超える演題を発表しています。

研究発表を始めたのは2008年から。当時はまだ事務職員以外の多くが、パソコン操作に苦手意識を持っていたことから、操作に慣れることを目的の一つとして施設内の職員を前にした個人発表を始めました。そして次第に慣れてきて、自信を持って施設外の大会でも発表できるようになりました。
5年ほど前からは業務改善を目的に絞り、数人でチームを組んで日々の業務から出た気付きや疑問をテーマ化し、時にはアンケートを取るなどして本格的に調査。施設内では年2回、パワーポイントと資料を用い、老健大会での演題発表と同じ形式で発表しています。
昨年9月の施設内での研究発表会には20チームが参加。中には11月14、15日に岐阜市で開催された「第35回全国介護老人保健施設大会岐阜」で発表するチームもあり、全国大会のプレ発表という貴重な機会となりました。
看護師の大家さんは、全国大会で発表したうちの一人。自身が中心となって多職種が集まったチームで「夜間の緊急要請が出来る~看護・介護業務をシームレスに~」をテーマに2年間かけて調査した成果を発表しました。大家さんはそれまで、何となくの不安から夜勤が苦手だったと言いますが、夜間に利用者が体調を崩した際のエマージェンシーコールから救急搬送までのスムーズな流れを研究し、職場全体を巻き込んで複数回、訓練するなどしたことで、「研究のおかげで、スムーズにできるようになったという手応えを感じています」と話します。施設内でのプレ発表では、質問への返答も経験できたことで、全国大会でも堂々と発表することができたと言います。
他にも、昨年度入職した5人が実施した自分たちの成長をテーマにしたアンケートの公表や多職種のチームによるICT機器導入についての考察など、生産性向上につながる課題が相次ぎました。
研究発表を取りまとめている看護師長の石原さんは「新人職員やパートの方もチームを作って取り組んでもらっています。全てはさくら苑を良くするため。これからもそれぞれの視点でテーマを見つけ、相談があれば全力でサポートしていきたい」と話しています。