少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。本年度2校目は恵那高校(恵那市)。創立100年以上の伝統校は、生徒の半数が国公立大学に合格する東濃有数の進学校です。「探究学習」に力を入れる同校ですが、公立高校としては全国でも例を見ない留学支援制度も。森岡孝文校長(59)は「本校のコンセプトは『ときめきと感動』」と言います。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

恵那高校=恵那市大井町
 恵那高校 所在地は恵那市大井町の県立高校。普通科(定員120人)と理数科(同80人)の2学科が設置されている。2004年度から文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けている。

 ―恵那高校の特徴は。

 本校は探究学習に力を入れている。国公立大学の総合型・学校推薦型選抜の合格者は昨年度32人だったが、200人の定員から考えるとその割合は県内の高校で最も高いと言える。これは探究の成果だと考えている。

 ただ、探究は大学入試のためではなく、生徒の生きる力になっている。本校のコンセプトは「ときめきと感動」。宇宙や社会の未知の仕組みを突き詰めて発見していく学問の緊張感とわくわくするときめき。仲間と一緒に困難にぶつかって乗り越えていくときの感動。そういうときめきと感動を授業、部活動や学校行事などで、3年間で1回でも多く生徒に経験させる。そういう仕組みをつくっている。

 本校の探究学習は大学の先取りではなく、借り物ではなく、インターネットから引っ張ってきて簡単に探してくるものではなく、本当に自分自身の体験や経験からオリジナルな問いを見つけよう、それを大事にしよう、というものだ。

 その自ら立てたオリジナルな問いが、福祉や医療など社会的な使命に関わるものだったり、大学や大学院を卒業するときに社会の発展につながったりすればいい。そうした取り組みを続けている。

 昨年度から5年間、あらためてスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を文科省から受けた。県内唯一のSSHで、探究学習の実績は初めて指定を受けた2004年度から20年分ある。県教育委員会のフラッグシップハイスクール(FSH)の指定も受けており、探究のモデル校だ。

 
 もりおか・たかふみ 恵那市出身。教科は地歴公民(日本史)。県教委学校支援課教育主管、中津商校長などを経て2023年度から現職。

 ―探究学習と教科のバランスは。

 探究活動の成果を大学受験に結び付ける生徒も当然多い。一方、入りたい大学に入るための教科力と探究の力が整合しないところがどうしてもある。教科の力と探究の力をどう結び付けていくか。一般受験でも力を発揮できるような仕組みをつくっていくことが重要だ。...