少子化や大学入試改革で今、高校を取り巻く環境は大きく変化しています。岐阜県内の高校はどう対応していこうとしているのでしょうか。岐阜新聞デジタルは各校の校長らトップにインタビュー。学習方針や進路対策、キャリア教育について考えを聞きました。2025年度のトップバッターは飛騨神岡高校(飛騨市神岡町)。岐阜県最北、全校生徒121人の小さな高校ですが、各務友浩校長(59)は「すごい高校」と言います。「飛騨神(ひだかみ)」の愛称がある同校はいったい何がすごいのでしょう。取材すると驚異的な求人倍率や進学実績、教育体制、地域とのつながりなど確かにとびきり特徴的な高校でした。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

―飛騨神岡高校の特徴は。
岐阜県で最北端にある高校で、昨冬は1.5メートルの積雪があった。バスで通う生徒が多く、高山市からのバスは午前6時30分発で90分かけて到着する。地元のバス会社の協力があって本校の運営が成り立っていると言っても過言ではない。
本年度の全校生徒数は121人。本年度は43人が入学した。県内で最も生徒が少ない高校の一つだ。生徒全員の顔と名前が一致する。その割に施設は充実していて、硬式野球、サッカー、ソフトボール用のスペースを同時に取れる広いグラウンドがある。
特徴の一つが総合学科であること。1年次は普通科と同様の授業を受ける。2年生で進学を目指す文理系列、商業高校と同じカリキュラムのビジネス会計系列、工業高校と同じ工業技術系列に分かれる。将来の夢や目標を明確にするため、1年生はOBや大学の先生の話を聞くプログラムを受ける。
少人数教育が特徴だ。3系列あり、生徒の多様な進路希望に対応するために細かく授業を設定する。一つの授業で同時に受ける生徒は多くて20人。生徒が希望するなら1人でも授業をする。今日もある数学の授業は先生1人、生徒1人で行った。文字通りのマンツーマン。本校の教員約30人で担当する。生徒のレベルや将来の希望に応じて授業の中身、スピードを調整している。その分、生徒は居眠りできず、宿題もしっかりやってこないといけないが、生徒の成長につながる。本校は生徒全員が主役だ。体育の授業で渓流釣りがあるのも県内では本校だけだろう。
部活動や文化祭も盛んだ。文芸部は昨年の「短歌甲子園」で準優勝。ロボット部も全国大会で上位入賞している。文化祭の「白樺祭」では3年生が演劇を上演する。生徒が少ないので、先ほどまで主役でステージに立っていた生徒が照明係を兼ねたりすることも。少人数だからこそ生徒も教師もアットホームで、コミュニケーションがよく取れている。
―進学や就職実績は。
昨年度の卒業生のうち、進学は42%、就職は58%。進学した生徒のうち、四大が58%だった。過去5年間では信州大学や静岡大学、名古屋工業大学など国公立大学への合格実績もある。
就職先は半分以上が地元飛騨だ。地元で就職する傾向が強い。昨年度の求人倍率は65.5倍。就職希望の生徒が19人と少なかったことはあるが、地元をはじめ全国から1245件の求人があった。...