日本と太平洋島しょ国による財務相会合に出席した加藤財務相(中央)=5日、イタリア・ミラノ(共同)

 【ミラノ共同】日本と太平洋島しょ国は5日、イタリア・ミラノで財務相会合を開いた。日本は島しょ国の金融網維持や自然災害への対応力を高めるため支援を表明した。中国が経済支援を通じ、島しょ国との結びつきを強めており、日本も安全保障の観点から関係を強化する狙いがある。

 島しょ国は経済規模が小さく、収益が見込めないため、海外への送金を中継する銀行の撤退が相次いでいる。会合の成果をまとめた文書では、こうした状況が「地域経済の重大な脅威」だと指摘。このほか「日本は不確実な世界情勢の下でも、自然災害に対する脆弱性を克服しようとする島しょ国に寄り添う」と明記した。

 会合は昨年に引き続き2回目で、日本と、トンガやパラオなど島しょ国12カ国の財務相らが出席した。

 会合は4〜7日の日程で開かれているアジア開発銀行(ADB)年次総会に合わせて開かれた。5日には各国の閣僚らが演説し、参加した加藤勝信財務相は「アジア太平洋地域が直面する課題は複雑化し、長年積み重ねてきた開発成果の停滞が危惧される」と強調した。