鹿児島県・徳之島の固有種で、臭いにおいを出すトクノシマカンアオイの花(奥山雄大氏提供)

 臭いにおいで昆虫をおびき寄せて花粉を運ばせるカンアオイの花は、多くの動植物が持つ酵素の一部を変化させて、臭い成分を合成できる酵素を作っていたとの研究成果を、国立科学博物館などのチームが8日付の米科学誌サイエンスに発表した。臭い成分を出すヒサカキなどの花も、同じ仕組みを独自に獲得していた。

 奥山雄大研究主幹(進化生物学)は「キノコや腐った果実のようなにおいを出す植物も調べ、特殊な香りを出す仕組みを明らかにしたい」としている。

 カンアオイは本州や四国などの森林に生え、約50種類が知られている。一部は腐った肉のようなにおいを出すが、どのように臭い成分を作っているか不明だった。チームは、カンアオイ26種の遺伝子の働きなどを調べ、臭いにおいのカンアオイで強く働く2種類の酵素を特定。うち「SBP」という酵素が臭い成分を合成していることを確認した。