航空自衛隊のT4練習機が愛知県犬山市のため池「入鹿池」に墜落し、隊員2人が安否不明になった事故で、機体は離陸から1分程度は安定して飛行していたが、その後、高度が約1400メートルから急速に低下したことが15日、分かった。当初の交信で異常は伝えられず、緊急事態の宣言は確認されていない。
空自は隊員2人について、いずれも新田原基地(宮崎県)の第305飛行隊に所属する井岡拓路1等空尉(31)と、網谷奨太2等空尉(29)と発表した。
墜落機は14日午後3時6分ごろ、小牧基地(愛知県)から新田原基地に向け離陸。空自の分析では、離陸から1分程度は北向きに順調に飛行し、中部空港(同県)の管制官と規定のやりとりをしながら高度を約1400メートルまで上げた。
そこから事前の飛行計画に沿って右回りに旋回を始めたが、急速に高度が落ち始め、数十秒後の午後3時8分ごろにレーダーから機影が消えた。高度低下の間は交信がなかった。乗員が緊急脱出した際に作動する救難信号は確認されていない。